研究課題
基盤研究(B)
アジサイ(学名:Hydrangea macrophylla)は日本原産で原種の花は青色である。この花(我々が見ているのは装飾花で実際はガク片)は、酸性土壌で育てると青色となり、アルカリ性土壌では赤色になることが20世紀初頭より知られている。酸性土壌では、土壌中に3番目に多く含まれる元素のアルミニウムが水溶性になる。そして、根から吸収されたアルミニウムイオンがガク片の着色細胞の液胞内で、アントシアニンと錯体を形成し美しい青色を発色する。ただし、一般的にアルミニウムイオンは植物にとって毒である。酸性土壌では根に障害がおきて生育が悪くなり枯死に至る。アジサイは酸性土壌に耐性を持つ植物で、植物体内に多量のアルミニウムを貯めることも知られていた。しかし、アルミニウムが液胞内へ運ばれる仕組みは全くわかっておらず、探索の手がかりも無かった。青色アジサイガク片からcDNAライブラリを作成して塩基配列を解読し、マイクロアレイ実験とコンピュータ解析により、輸送体タンパク質の特徴を持つ遺伝子を候補として絞り込んだ。これらの遺伝子を酵母に導入して、アルミニウムの輸送活性を測定した。水チャネルタンパク質とよく似た配列の液胞型アルミニウム輸送体(HmVALT)を取得した。本遺伝子を導入した酵母は、液胞内ヘアルミニウムを貯めることが確認された。次に、これと配列が似た細胞膜に存在する輸送体の遺伝子を同様の方法で探索し、細胞膜型アルミニウム輸送体(HmPALT1)を見いだした。さらに、同様の方法で探索を行い、細胞膜に局在するアニオンパーミエースファミリーに属する新規アルミニウム輸送体(HmPALT)を取得した。HmVALTとHmPALT2は全ての組織で発現し、HmPALT2はガクだけで発現した。HmVALTを導入したシロイヌナズナはアルミニウム耐性を獲得した。
2: おおむね順調に進展している
既知の水チャネルと相同性の高いAl輸送体に加え、新規Al輸送体を取得し、機能解析を進めることができた。
アジサイのAl処理による集積に関与する遺伝子が複数取得できたので、これらのガク片の着色細胞における発現と細胞の色との相関を調べる。
雇用した技術補佐員の勤務時間数が予定よりも少なかったため。追加で技術補佐員の雇用を予定したい、
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Genes to Cells
巻: 18 ページ: 341-352
10.1111/gtc.12041
PLOS ONE
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http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20120830_is_pdf