研究課題
基盤研究(B)
本態性高血圧および脳卒中モデルラットSHRSP/Izmを用いて、胎児期に母獣に低タンパク食を給与することで高血圧が憎悪するメカニズムの解析を行った。まず週齢によって血圧調節に関連する遺伝子発現がどのように変化するか明らかにすることを目的とし、9週齢の妊娠ラットに9%カゼイン食を給餌し(SHRSP9%群)、対照群には20%カゼイン食を給餌した(SHRSP20%群)。雌性ラットの予備飼育時や出産後の時期、また雄性ラットにはMF dietを給餌した。妊娠ラットの体重増加はSHRSP9%群で有意に減少していた。総摂食量はSHRSP9%群で有意に減少した。妊娠21日目、生後15日目、生後28日目の雄性ラットから腎臓、肝臓、胸最長筋、大動脈、血漿、血清を得た。各週齢の腎臓からRNAを抽出し、RAAS関連遺伝子の発現量をリアルタイムPCR法により定量した。また、正常血圧ラットWistarについても、同じ週齢の個体からサンプルを得て定量した。その結果、妊娠21日目におけるAgtrlaおよびAgtrlbの発現量は、SHRSP20%群、SHRSP9%群どちらもWistarと比較して有意に低い値を示した。生後28日目におけるAgtr2およびAgtr1bの発現量は、SHRSP9%群でWistarと比較して有意に高い値を示した。なお、週齢を追うごとに発現が顕著に減少するAgtr2の発現量は、妊娠21日目、生後28日目でSHRSP9%群がSHRSP20%群より高い傾向を示す一方、生後15日目は低い傾向を示した。また、妊娠21日目、生後15日目の個体に関しては、腎臓から抽出したRNAを用いてDNAマイクロアレイを行い、関与遺伝子の同定を進めた。また、ゲノムワイドのメチル化解析を行うため、条件の検討を行った。さらに前述の組織からDNAを抽出し、バイサルファイト反応に供し、ゲノムワイドシークエンスの準備を行っている。
2: おおむね順調に進展している
ラットの飼育や、網羅的遺伝子発現の解析に関しては、繰り返し行い、順調に進行した。ゲノムワイドのメチル化解析に関しては、当初の計画では外注することも考慮していたが、スピードアップのため自ら行うことにし、そのため条件の検討などに時間を要した。
SHRSPラットを用いて、胎児期低タンパク暴露を受けたラットを10週齢まで飼育し、血圧や腎機能への影響を解析する。DNAマイクロアレイおよび次世代シーケンサーを用いて、網羅的なメチル化解析をさらに進める。ピストン修飾の際についても解析を開始する。
すべて 2012
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
J. Nutr. Biochem.
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10.1016/j.jnutbio.2011.04.014.
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