研究課題/領域番号 |
24380069
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松田 幹 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (20144131)
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研究分担者 |
大島 健司 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (90391888)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | βグルカン / 腸上皮細胞 / マクロファージ / 腸管ウイルス / 食物繊維 |
研究概要 |
βグルカンの受容体(Dectin-1)、マウス体内への取り込み、およびin vitroでのヒト腸上皮細胞への腸管ウイルスの感染機構に関するこれまでの研究成果から、「βグルカンにより活性化された腸管免疫細胞から分泌される液性因子が腸上皮細胞に作用して粘膜上皮のウイルス抵抗性を増強する」という仮説をたてた。今年度は、βグルカンにより活性化されると想定されるマクロファージを用いてβグルカンの作用を解析した。まず、βグルカン受容体であるDectin-1の発現について、ヒトマクロファージ細胞株THP-1とDectin-1特異抗体を用いて、タンパク質レベルでの発現を免疫プロット法で解析した。培地中に微粒子化したβグルカンを添加して培養し、細胞溶解液のタンパク質を分析すると、添加濃度に依存して、また培養時間依存的にDectin-1の25kDaのバンド強度が上昇した。添加するβグルカン濃度をさらに上げるとDectin-1の発現は低下し、また、培養時間についても24時間をピークとしてそれ以降は低下した。メクロファージは、βグルカンを貧食した後、その受容体Dectin-1の発現を誘導し、その後、減衰させるようなフィードバック機構を持つと考えられた。マクロファージにより貧食されたβグルカン粒子が、微粒子化さら再度放出される現象を見つけた。この再放出された微粒子化βグルカンがナイーブなマクロファージを活性化するか否かを、活性化を高感度に定量できるレポーター遺伝子を組み込んだマクロファージ細胞株を用いて解析した結果、再放出された微粒子化βグルカンは高効率にナイーブなマクロファージを活性化することが明らかとなった。また、ヒトロタウイルスの培養腸上皮細胞を用いた感染、増殖のアッセイ系を確立し、腸上皮細胞のウイルス抵抗性の評価に適した条件を設定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初はマウス個体とヒト培養細胞の両方の研究を平行して実施する計画をたてたが、培養細胞の系で興味深い新規の現象が見つかったため、培養ヒトマクロファージを用いた研究を重点的に進めた。その結果、新規の現象の確証を得るとともに、生物活性に関する新たな発見につながった。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画にそってマウス個体とヒト培養細胞の両方の研究を平行して実施するが、培養細胞系で興味深い成果が得られつつあるため、今後の展開次第では、培養細胞の系での特定の項目に的を搾って研究を進める可能性もある。
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次年度の研究費の使用計画 |
動物実験と培養細胞実験を平行して進める計画を変更して、培養細胞実験を中心に研究を進めたため、予定よりも経費が少なくてすんだ。次年度は動物実験も追加して研究を進めるため、繰り越した分を合わせて使用する予定である。
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