研究課題/領域番号 |
24380071
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
佐藤 匡央 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (90294909)
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研究分担者 |
城内 文吾 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (00548018)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 連鎖解析 / ExHCラット / 肥満 / リン脂質脂肪酸組成 / 糖尿病 |
研究概要 |
前年度、ExHCラットとBN系ラットの交雑2世代 (F2) の約200匹において血清リン脂質の脂肪酸組成で脂肪組織重量と関係のある脂肪酸を2種類同定した。同時に連鎖解析の結果、また別の脂肪酸が、脂肪組織重量と連鎖しており、その遺伝子を本年度同定した。 さらに前年度明らかにしたExHCラットにおける脂肪酸合成の異常が、基質となる糖質代謝に影響を与える可能性がある。ExHCラットの糖代謝の評価を目的として、起源系統であるSD系ラットとの比較実験を行った。4週齢雄ExHC及びSDラットを高スクロース食もしくは高デンプン食で2週間飼育した。ExHCラットは、HOMA-IR値が高く、インスリン抵抗性を呈していることが明らかとなり、その値は高スクロース食の方が高かった。肝グリコーゲン量もExHCラットが有意に高い値を示し、高スクロース食で有意に減少した。一方、筋のグリコーゲン量は、ExHCラットが減少傾向を示し、高スクロース食で有意に減少した。以上のことから、ExHCラットの糖代謝は、肝臓TAG代謝の低下を原因としてインスリン抵抗性を呈しており、高デンプン食よりも高スクロース食によって悪化することが明らかとなった。 以上により、脂肪酸組成の変化は、高コレステロール血症と独立であり、他の病態とも関連がない。先の2種類の脂肪酸は独立のバイオマーカである。つまり、肥満とその予備軍ではこのバイオマーカは遺伝と独立な脂肪酸である。しかし、本年度同定の脂肪酸は、本年度同定の遺伝子、高コレステロール血症および軽度のインスリン抵抗性は以前同定したSmek2が原因であると考えられるので、遺伝性の因子である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
脂肪酸組成のF2連鎖解析の結果よりから、脂肪酸組成の変化をもたらす遺伝子を同定した。この遺伝子は現在、内外の研究者が、肥満との関係をヒト集団で検証している遺伝子であった。さらに、高コレステロール血症と糖尿病の合併症の一つのメカニズムが提示できた。以上のことより、本来の計画の進行以上に、副次的な、バイオマーカへの可能性が提示できた。
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今後の研究の推進方策 |
疫学調査を進めるにあたり、バイオマーカの妥当性を与えるのに実際のモデル集団で検討されることはなく、バイオマーカの妥当性はかなりの数の公表論文のメタ解析により保障される。この妥当性の検討モデルとしてゲノム情報が入手可能な2系統(ExHCラットおよびBNラット)を用いて交雑し、F2集団をモデル集団として、申請者が長年研究してきた血清中脂質の中で新規バイオマーカの探索と連鎖解析対象集団においてバイオマーカの妥当性と脂質代謝異常症発症とバイオマーカの妥当性と脂質代謝異常症発症とバイオマーカの関連からメカニズムの解明を行ってきた。前年度のまで肥満のバイオマーカとしてリン脂質中の脂肪酸を同定した、また、酸化コレステロール中では動脈硬化発症を抑制する、バイオマーカを2種類同定した。次に、学習能低下のバイオマーカを次年度から同定する。これらが明らかになることによって、モデル動物が模索されている糖尿病から痴呆症を合併する病態の解析におよび創食・創薬に重要な知見を与えることができる。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験動物の飼育をするために、維持管理費を継続させるため。 実験動物の飼料代
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