研究課題
本研究の最終年度にあたる平成27年度においては、これまでの調査や観測などを継続させながら、最終的な取りまとめを行った。カンラン岩地帯(山地・河川)は、特異な植生(草本・木本)を成立させながら、非カンラン岩流域に比べてFe(鉄イオン)をふくむ重金属イオン等の流出やDOC(溶存炭素)の流出・落葉の流出割合を大きくし、SS(浮遊砂)の流出量を減少させるなどとして、沿岸域の環境や生物生産に好条件をもたらしていることが明らかになった。ただし、沿岸域のコンブの生育状況については、やや後退の傾向にあることも把握された。各研究グループの研究実績は、以下のようである。「物質フロー」グループにおいては、カンラン岩地帯では水分の地表流出率が高く、針葉樹林下のO層よりDOCが供給されてFeと有機-無機複合体(錯体)が形成されることや、秋季において錯体形成が高まる状況が把握された。落葉の流出については、流域面積とともに、河川地形や山地性樹種の分布率と高い相関関係にあり、カンラン岩地帯からの流出率が高くなっている状況が把握された。「陸域植物資源」グループの小果樹関係においては、DNAマーカーを用いた分子系統解析を行い、カンラン岩地帯のハスカップとキイチゴ属は北海道内とは異なる細胞質ゲノムをもつことや、遺伝的にやや距離があることなどが把握された。草本類については、葉緑体の遺伝子間領域とITS領域を用いた遺伝解析を行い、カンラン岩地帯のエゾキスミレは2つのプロトタイプを持ち、シソバキスミレのハプロタイプからの進化によることなどが把握された。「沿岸域生物資源」グループにおいては、水質環境とコンブ藻場の経年的なモニタリングを行い、とくに非カンラン岩地帯ではプランクトンのブルームや河川からの微細な浮泥の滞留などにより透明度が低下傾向にあることや、コンブの藻場が後退の傾向にあるなどの状況が把握された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Algal Resources
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