研究課題/領域番号 |
24380081
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
竹内 祐子 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (80452283)
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研究分担者 |
谷口 武士 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 助教 (10524275)
片岡 良太 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (00635104)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 海岸林 / クロマツ / 外生菌根 / 根圏微生物 / ファイトレメディエーション |
研究概要 |
東日本大震災に伴う大津波により、青森県から千葉県に至る広範囲の海岸クロマツ林が壊滅的被害を受けた。海岸クロマツ林は防砂・防風・防潮等の保安機能を有しており、復旧が急務である。しかし、津波浸水による土壌塩分濃度の上昇や有害物質・ヘドロなどの内湾性堆積物に起因する土壌汚染により、植生の回復を妨げられることが懸念される。本研究は、クロマツが外生菌根性樹種であることに着目し、共生微生物(外生菌根菌及び機能性根圏細菌)の制御に基づく機能付与型クロマツ苗の作出技術の開発を目指す。 平成25年度は、前年度と同じく7月上旬に、津波被害を受けたクロマツ林2か所(宮城県東松島野蒜および同県山下浜)においてクロマツ根圏土壌および根系の試料採取を行った。それぞれの林分についてクロマツ成木および実生10個体を対象とした。菌根菌感染率については昨年度と大きな変化は認められず、これまでに報告されている海岸クロマツ林と比べて低い傾向が認められた。クロマツ成木の菌根群集については、各個体の根系試料より分離した30~40菌根チップからDNAを抽出し、ITS領域のPCR増幅を経てシーケンス解析を行った。シーケンスした塩基配列のデータ解析は平成26年度の課題とする。 有用根圏微生物の選抜試験については、前年度の結果から、宿主が草本(シロイヌナズナ)の場合と木本(クロマツ)の場合とでPGPR活性が異なる可能性が示唆された。そのため、鳥取砂丘クロマツ根圏土壌から平板希釈法により分離・単離した土壌細菌培養株約150株を対象に、対木本植物のPGPR活性をもつ細菌株の選抜を改めて開始した。現在までに予備試験を終えて、有望な11株について追加試験を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
津波被害地における現地調査、機能性微生物のスクリーニングともに概ね当初の計画通り進展している。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までに実施した機能性微生物の予備スクリーニングをさらに発展させた選抜実験を行うと共に、津波被害地における土壌成分及び菌根菌相調査を引き続き行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度までの実験結果より、機能性微生物のPGPR効果が宿主植物によって異なる可能性が示唆された。それに伴って、機能付加型クロマツ作出の前に再度クロマツを使用しての微生物スクリーニングを行う必要が出てきたことから、機能付加型クロマツ作出に必要となる植物材料等の購入を次年度に持ち越すこととした。 クロマツ育成技術開発のための機能性微生物のスクリーニングは、当初の予定より試験に供する微生物株数が多くなる見込みであるため、実験補助を新規に雇用して効率的な研究遂行を目指す。
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