研究課題/領域番号 |
24380097
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
山田 竜彦 独立行政法人森林総合研究所, バイオマス化学研究領域, チーム長 (90353903)
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研究分担者 |
菱川 裕香子 独立行政法人森林総合研究所, バイオマス化学研究領域, 主任研究員 (80343797)
久保 智史 独立行政法人森林総合研究所, バイオマス化学研究領域, 主任研究員 (50399375)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | バイオレブリネート / セルロース / レブリン酸 |
研究概要 |
セルロースから誘導可能なディーゼル油相当液体燃料としてのポテンシャルを持つ有用化合物として「バイオレブリネート」なる物質を見いだし、検討を進めている。バイオレブリネートとは、糖の酸加水分解物により得られる有機酸である「レブリン酸」とアルコール類がエステル結合したレブリン酸エステル骨格を持った化合物である。レブリネート類の燃料としての物理パラメータ(沸点や引火点)は、石油化学でいうケロシンに相当し、ディーゼル油、灯油、ジェット燃料源として期待されている。加えて、MTBE(メチルターシャリーブチルエーテル)やETBE(エチルターシャリーブチルエーテル)に替わるクリーンなガソリン添加剤(ブースター)としても期待される。初年度は、1-ブタノールや1-ペンタノールを用いて、セルロースを処理して理論収率の約60%程度のブチルレブリネートの収率を達成した。本年度は、1-ヘキサノールを用いてセルロースを常圧下で酸加溶媒分解して、同程度の高収率でレブリネートの製造を達成した。加えて、セルロース系の未利用バイオマスとして、種々の製紙スラッジやスギ木材を原料に用いたバイオレブリネートの製造を上記の3種の媒体中で検討したところ、ペンタノール系では理論収率の約70%以上の高収率を達成した。また、ブチルレブリネートを減圧蒸留で製造するスケールアップしたモデル実験を行い、ブチルレブリネートの蒸留精製に成功した。触媒の適正化においては、硫酸触媒については20%程度の添加が適量と判断している。また、固体酸触媒等を検討しているが、現在の所、硫酸の効率を超えるには至っていない。当該成果の一部はバンクーバーで行われた国際会議ISWFPC2013で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
バイオレブリネートをブタノール以外の高沸点アルコール類からの製造に展開させた事や、製紙スラッジを用いた実証に成功している点、加えて、減圧蒸留におけるスケールアップしたモデル実験でブチルレブリネートの蒸留精製に成功した点等が示すように、おおむね順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、実用化を見据えたレブリネート類の分留の試験を中心に展開するが、その際に留意すべき点を明らかにしてプロセスを確立する必要がある。分留前の混合溶液中にも、多種な副産化合物が生成するので、その同定等を行い、目的レブリネートの最適な精製条件を見出す。また、夾雑物を除くための、処理の温度や圧力との関係も明らかにする。最終的にはセルロース系バイオマスからバイオレブリネートを製造する一連の工程として、最適な条件を見出して、プロセスとして確立する。また、実際に評価できる程度の量のバイオレブリネートが取得可能となれば、その特性評価も開始する。
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次年度の研究費の使用計画 |
最終年度に向かった研究を進めるにあたり、ルーチンワークを要する部分が多く、そのため、非常勤職員の労力が必用となった。よって、次年度は賃金として使用できる予算枠を充実させる必要があり、次年度使用額として確保した。 バイオレブリネートの製造と精製試験における実験補助の非常勤職員の賃金として計上する。
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