研究課題
【東日本大震災が三陸地域のサケ資源に及ぼした影響】北海道、岩手県および新潟県の合計23孵化場で得られた放流幼稚魚の耳石微量元素、酸素・炭素安定同位体比化学分析を進め、同一地域内の孵化場を高い精度で判別することを確認した。また、北海道太平洋側沿岸域に回帰したサケとベーリング海で採集された未成熟サケの耳石微量元素による回遊履歴の検討を行い、耳石Sr:Ba比が周期的に大きく変動すること、またその最初の上昇が耳石分析ライン上の核から約20%の部分で起こることが明らかになった。これらの成果は、北太平洋におけるサケの回遊経路を明らかにする上で重要な情報を提供するものである。今後、これらの成果に基づいて、震災前後のサケの耳石の微量元素・酸素・炭素安定同位体比特性を比較解析することで、震災が三陸地域のサケの回遊過程や母川回帰に及ぼした影響の一端を明らかにすることが可能になるものと考える。【東日本大震災が三陸地域のアユ資源に及ぼした影響】鵜住居川(岩手県釜石市)と盛川(岩手県大船渡市)において、平成25年、26年同様に仔魚の流下状況と遡上アユの日齢、孵化日、遡上日齢、遡上日、遡上体長を調べ、相互に比較した。その結果、遡上アユは震災前と同様に早生まれ個体を主体とする構成に回復したものの遡上体長が平成25年、26年同様に震災前に比べて小型化した傾向がみられた。また、仔魚の流下時期は震災前と同様に10月上旬をピークに9月下旬から11月下旬まで続いた。これらの結果より、アユの生活史特性はほぼ震災前の状況に回復したものの、冬季の水温や餌状況などの沿岸域の冬季の沿岸環境がアユ仔稚魚の成長に影響を及ぼしていることが伺える。なお、東日本大震災がアユ資源に及ぼした影響については、投稿論文にまとめ、国際学術誌に投稿した(審査中)。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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