研究課題/領域番号 |
24380107
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
小路 淳 広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (10397565)
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研究分担者 |
高須賀 明典 独立行政法人水産総合研究センター, 中央水産研究所, グループ長 (00392902)
三田村 啓理 京都大学, 情報学研究科, 助教 (20534423)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 沿岸生態系 / 複合生態系 / 生産構造 / 栄養フロー / 生態系サービス |
研究概要 |
浅海域は,地球上の全生態系のなかで最高の生物生産速度を誇る.しかしながら,これまでその生産過程は湾などの「海域」を基本単位として評価されてきた.本研究では,物理・生物的性状が異なる複数生態系(藻場,砂浜など)の集合体である浅海域の生物生産への貢献度を,生態系ごとに区分して定量評価する.浅海域の生物生産の主要構成要素である魚類資源は,他の生物群(貝類,甲殻類等)に比べて高い移動能力を備え,複数生態系を移動しながら栄養フローを担う.本研究課題は「貢献度評価」の先駆的研究事例として世界をリードし,得られた定量的データにもとづいて我が国の沿岸環境・資源の新たな管理方策「複合生態系保全」を提案することを目的とする. 平成25年度には,藻場を中心とする沿岸生態系における魚類群集の主要な捕食者―被捕食者を特定するための魚類群集調査と胃内容物解析を広域的に実施するとともに,季節変化の解析を併せて行った.その結果,コアサイトとして季節別調査を実施した瀬戸内海と北海道では,季節に関係なく捕食者のバイオマスが夜間に増大することが明らかとなった.日中に比べて夜間に藻場を利用する大型魚食性魚類が増加することにより,小型魚類の被食リスクが高まる傾向が南北サイト,季節で共通して認められたことは,夜間の藻場において日中よりも捕食圧が高まることが普遍的なものであることを支持している.可能性が示唆された.得られた成果を,関連する学会において口頭発表するとともに,英文の学術雑誌に投稿した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり,夜間における被食リスクの上昇を南北のサイトにおいて明らかにすることができ,さらに,その季節変動に関するデータを南北複数のサイトで得ることができたため.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の変更はない.平成26年度には,捕食者―被捕食者のエネルギーフローの種間比較を中心にフィールド調査,解析を実施する予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
野外調査を計画していた期間の天候変化により調査計画を変更したため. 野外調査における調査日の延長,人員の増加による相殺を予定している.
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