研究概要 |
汽水産のワムシ(1)、カイアシ類(2,3)、ミジンコ(4)を用い、次の結果を得た。 (1)ワムシが生涯に付着と遊泳を繰り返す回数(平均±標準偏差)は1.3±2.3回/時、合計付着時間は57.6±11.9分/時で、加齢に伴う付着時間、付着回数の変化はなかった。 (2)Tigriopus japonicusを高密度・暗黒・飢餓条件におくと,容器内の上部で遊泳する個体が最も多く(16.8 %),他の条件下では遊泳個体の割合は3.0-13.4 %だった。0.5 W/m2の光照射では,青色光に対してのみ,本種は正の走光性を示した。2.0 W/m2では正の走光性を示したが,3.5 W/m2では負の走光性を示した。また,2.0, 3.5 W/m2の青色光を容器の底面から照射することによって、本種の正の重力走性よりも負の走光性が上回り,他の波長と比較して浮遊個体の割合が有意に高くなった(44.6-47.4 %)。三次元培養システムを用いて微小重力下で培養しても、浮遊する個体が増えることは無かった。 (3)Acartia tonsaとT. japonicusの成体1個体とノープリウス幼生1, 5, 10個体を48時間共存させ,給餌および無給餌条件下で共食いの誘発状況を調べた。A. tonsaでは給餌,無給餌の両条件下で,成体による共食いと判断されるノープリウス幼生の減耗がみられ,特に無給餌下での幼生の生残(12-50%)は給餌下(56-80%)より低くなった。T. japonicusでは,共食いと判断される幼生の減少はみられなかった。 (4)光の強さと波長に関わらず、ミジンコは正の光走性を示し、眼点または複眼の視感度特性と一致した。重力については、ワムシは正の走性、ミジンコは負の走性を示し、このとき上部に光照射しても重力走性による分布を維持した。一方、下部から光照射すると負の重力走性に逆らって、下層へ移動するミジンコが出現した。
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