研究課題
有機スズ化合物による巻貝類(前鰓類)のインポセックス誘導には有機スズの化学種による種差が示唆されているため、イボニシ、ヨーロッパチヂミボラ及びバイの3種のRXRを用いて、転写活性の比較を行った。イボニシRXRには少なくとも2種類のvariantが存在するが、これらのvariantは上述のいずれの種においても同様に存在することが分かった。得られたこれらの配列を用い、レポータージーンアッセイ法により、16種類の有機スズ化合物(メチルスズ4種、エチルスズ3種、ブチルスズ4種、トリプロピルスズ(TPrT)、トリシクロヘキシルスズ(TcHT)及びフェニルスズ3種)による転写活性の誘導を測定した。何れの種のRXRでもトリブチルスズ(TBT)、テトラブチルスズ、トリフェニルスズ、TPrT、TcHTにより有意な転写活性の誘導が認められた。この結果を基に、上記のvariantにおける有機スズ化合物による反応性の差異を調べるため、複数の応答配列を用いてRXRのvariant毎の転写活性を測定し、有機スズ化合物の化学種による転写活性の種差及び、variantの転写調節機構における役割を評価・比較した。RXR遺伝子と協調的に働き得る遺伝子として、レチノイン酸受容体(RAR)や甲状腺ホルモン受容体、PPAR、FXR、LXR等の様々な受容体が脊椎動物・無脊椎動物に存在する。現在までに、ほ乳類RARと相同性のある遺伝子をイボニシから単離し、機能同定を行ってきた。一方、昆虫や甲殻類においてTBTがエクジソン受容体(EcR)の活性等に影響を及ぼすとの報告があり、EcRはRXRやUSPのヘテロパートナーであるが、現在までに軟体動物におけるエクジソンの役割は明らかとなっていない。われわれは、昆虫や甲殻類の脱皮や生殖腺の発達・成熟等を調節するEcRと類似した遺伝子をイボニシより単離した。これを用いて全長配列のクローニングを行い、機能同定を行った。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Peptides
巻: in press ページ: in press
10.1016/j.peptides.2014.10.009
Marine Environmental Research
巻: 93 ページ: 4-14
10.1016/j.marenvres.2013.07.003