研究課題
ペプチドドッキングシミュレーションによってヒラメMHCクラスIaタンパク質と抗原候補ペプチドの結合アフィニティスコアを算出した。これに基づき、エドワジエラ症原因菌およびヒラメラブドウィルスのタンパク質のアミノ酸配列から、抗原ペプチド候補をそれぞれ11個ずつ選別し合成した。はじめに、エドワジエラ症原因菌由来の11ペプチドをヒラメに接種したのち同菌による感染試験を行った(11試験区)。陰性・陽性対照区として、生理食塩水のみを接種した区とホルマリン死菌接種によって免疫した区を用意した。High dose(1.1E+7 cfu/個体)での感染試験では、1試験区のみでヒラメの生残が観察され、残り10試験区および対照区においては生残した個体は見られなかった。Low dose(1.1E+4 cfu/個体)での感染試験では、7試験区でヒラメの生残が観察され、うち3つの試験区では死菌接種によって免疫した陽性対照区と同等かそれよりやや良い生残率が得られた。ヒラメラブドウィルス由来の11ペプチドを用いたウィルス感染試験は現在実施中である。研究全体の総括としては、世界で初めて魚類におけるペプチドワクチン候補を探索し、かつ感染試験を実施することで基礎データを収集することが出来た。今後は、感染試験での生残ヒラメ個体からゲノムDNAを抽出してMHC遺伝子のタイピングを行ったり、免疫関連組織の遺伝子発現解析等を行うことで、魚類の細胞性免疫機構の解明及びペプチドワクチンの有効性の検証が進むものと期待される。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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