研究課題
フグの毒化機構を、フグ毒テトロドトキシン(TTX)の体内動態と、毒化に関与する機能性分子の観点から解明するため、以下の項目を実施した。1)MRIイメージング法によるTTXの体内動態解析:無毒の養殖トラフグに生理食塩水に溶解したTTXを0および1日目にそれぞれ2回ずつ筋肉投与した(総投与TTX量1.6mg)。最終投与後、60時間水槽で飼育後に水槽から取り出し、氷冷後、高磁場MRI測定に供した。対照魚には生理食塩水だけを投与したものを用い、TTXの特異的なプロトンスペクトラムにより選択的励起強調画像法で連続測定し、画像処理にて三次元表示した。その結果、TTX投与したトラフグでは、TTXは肝門脈から放射状に点在して分布することが初めて明らかになった。2)フグ毒化関連分子の特定と機能解析:トラフグ肝臓に見いだされたTTX結合性物質を明らかにするため、組織培養法でTTXを蓄積させ、そのホモジネートをゲルろ過カラムに供すると高分子画分にTTXが検出された。また、無毒の養殖トラフグ肝臓の緩衝液抽出物にTTXを添加した場合にも高分子画分からTTXが検出され、TTXはトラフグ肝臓の高分子成分と結合することが明らかになった。フグの毒化関与遺伝子の解析では、養殖トラフグにTTXを注射してTTXを蓄積させたとき肝臓で発現増大する遺伝子を、DNAマイクロアレイ法で解析した。その結果、TTXを蓄積したトラフグ肝臓では、代謝関連酵素やシグナル伝達系および免疫系タンパク質をコードする推定転写産物が高いレベルで発現増大した。また、養殖トラフグの肝組織切片を TTX含有培養液で24時間培養して次世代シーケンサーで遺伝子発現レベルを解析すると、TTX用量依存的な発現増大が観察された。GO解析およびKEGG解析の結果、ミトコンドリアに由来する転写産物が多く発現増大していることが確認された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Toxicon
巻: 93 ページ: 98-102
10.1016/j.toxicon.2014.11.227
Microarrays
巻: 3 ページ: 226-244
10.3390/microarrays3040226
https://hiris.pu-hiroshima.ac.jp/profile/ja.URMx8jJYneLsbeTC2WjIYA==.html