研究課題/領域番号 |
24380117
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
深田 陽久 高知大学, 自然科学系, 准教授 (10380304)
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研究分担者 |
村下 幸司 独立行政法人水産総合研究センター, 増養殖研究所, 研究員 (60597649)
森岡 克司 高知大学, 自然科学系, 教授 (90230094)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 水族栄養 / 養魚飼料 / 成長因子 / 消化管ホルモン / 代替飼料 |
研究概要 |
海産養殖魚用飼料の主成分は、天然魚を原料としたタンパク質(魚粉)である。近年、持続可能な養殖漁業のために、「魚を餌とした魚の生産」から、「魚以外のものを餌とした魚の生産」が進められている。魚粉に代わりうるタンパク質原料に大豆タンパク質を多量に使用した際、従来の魚粉を主体とした飼料に比べて成長が劣る。この原因として、1)大豆タンパク質の消化・吸収率の低さ、2)魚類の成長に必要なアミノ酸の不足があげられる。これらの原因を、消化管ホルモン(コレシストキニン:CCK)と成長因子(インスリン様成長因子-I:IGF-I)を指標として解明し、濃縮大豆タンパク質を主タンパク質源とした従来の魚粉飼料に劣らないブリの新規飼料を開発する。 【消化・吸収率の改善】では、CCKの合成・分泌を促進する物質が主に魚粉の水溶性画分に存在することを明らかにし、またその大部分の分子量が1000以下であることを確認した。幽門垂を用いたin vitro試験において、単一のアミノ酸添加によって、CCK遺伝子または消化酵素遺伝子の発現量の増加を確認した。 【不足アミノ酸の検索】では、昨年度とは異なるロットの魚粉を用いて魚粉含量10%飼料(低魚粉飼料)で馴致したブリ幼魚の背部筋肉中に非必須アミノ酸の投与を行い、筋肉IGF-Iの応答を確認した。その結果、昨年度と異なり、プロリンには応答せず、アラニン、グルタミンおよびGH投与区でIGF-Iが増加した。これらのアミノ酸を低魚粉飼料に単独、または複合添加した結果、プロリン添加では改善がみられず、アラニンとグルタミンの複合添加飼料によってブリ幼魚の成長に改善がみられた。これまでの成果から筋肉IGF-Iは飼料中に不足するアミノ酸の検出に有効であることが強く示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は【消化・吸収率の改善】および【不足アミノ酸の検索】を平行して行っており、ともに計画書(H25年度分)に申請した内容を達成できでいる。また、飼育試験の予備試験も行い、不足アミノ酸の検索については、当初の予定よりも進展している。
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今後の研究の推進方策 |
【不足アミノ酸の検索】は当初の予定より順調に進行しているため、このまま続行する。【消化・吸収率の改善】においては、消化管ホルモンの合成を促すアミノ酸の同定を終了し、その成果を夏期から始める飼育試験に反映できるようにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
魚の飼育施設利用費の3月分の請求が一ヶ月遅れで行われる。そのため、支払いを4月に行ったが、当初の予定額よりも少額で済んだため。 今年度も飼育施設の利用費に当てる。
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