研究課題/領域番号 |
24380118
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
立川 雅司 茨城大学, 農学部, 教授 (40356324)
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研究分担者 |
三上 直之 北海道大学, 高等教育推進機構, 准教授 (00422014)
櫻井 清一 千葉大学, 園芸学研究科, 教授 (60334174)
山口 富子 国際基督教大学, 教養学部, 准教授 (80425595)
大山 利男 立教大学, 経済学部, 准教授 (00221838)
松尾 真紀子 東京大学, 政策ビジョンセンター, 特任研究員 (40422274)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | フードシステム / ゼロ・トレランス / 食品安全 / 模擬的討議 |
研究概要 |
本研究を遂行するに当たっては、事例に即して分析・検討を行う課題(小課題1)と、ステークホルダー相互の討議を行う課題(小課題2)との2つのサブ課題を下記のように設定し、研究組織を構成する。小解題1では、ゼロトレ政策の形成背景とフードシステム上の対応に関して、事例に基づき分析することを課題としている。平成25年度の研究結果については、下記の通りである。 小課題1:25年度は、前年度に引き続き、事例をめぐる情報収集を継続した。具体的には、ゼロトレ政策や対応が抱えるジレンマ状況を構造的に明確にできる、いくつかの事例(放射性物質、遺伝子組換え作物、農薬、BSE)について、関係者からヒアリングを行った。特に、BSEに関してはゼロトレ的対応(全頭検査)が終了したことを受けて、検査終了までの経緯とその影響等に関して知見を有する専門家からヒアリングを実施した。また、ゼロトレに関する日本国内の食品安全政策の対応に関して、国際誌である「Food Policy」誌に投稿・掲載された。 小課題2:25年度は、前年度に引き続き模擬的討議のための設計と先行研究の把握を行った。一貫的なステークホルダー間での合意が困難な場合の代替的な模擬的討議としてロールプレイモデルの意義と具体的手法に関して検討した。意見対立が先鋭化し歩み寄りが見いだせない場合、逆に利害関係が未形成で問題の可視化を行う必要がある場合などにロールプレイが有効ではないかとの判断から、この手法を適用することを検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、日本における放射性物質等におけるゼロトレ対応に関して分析を行い、その研究成果の一部を『Food Policy』誌に投稿した結果、2報の論文を掲載することができた。このことにより国際的な成果の発信にもつながった。 また模擬的討議に関する先行研究の把握とその問題点の抽出を踏まえて、合意が困難な場合の討議手法としてロールプレイモデルによる討議について検討した。最終年度においては、これまでに行ったヒアリング等を踏まえて実践する予定であり、この面でも研究は順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
小課題1:平成26年度は、新しい育種技術に関するゼロトレ対応に関しても、育種や研究者の他、消費者団体等を含めてヒアリングを行い、最終年度としてのとりまとめを行う。消費者のリスクの受容可能性に関しても、上記の事例調査から得られた知見をもとにウェブアンケートを実施する予定である。 小課題2:この手法を新しい育種技術をめぐる議論に適用し、ゼロトレ対応をめぐる基本方針とその課題に関して、関係ステークホルダー間で討議する上での課題を明らかにする。模擬的討議を行った結果に関しては、ゼロトレ対応の必要性やその影響等をめぐる議論の内容をデータとして整理し、言説分析等の手法を用いて、正当化の論理等を多角的に解析する予定である。 以上を踏まえて、26年度は最終年度としてのとりまとめを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
26年度に実施する模擬的討議に関して、これに充てるための旅費および謝金等を今年度分から留保したため。 26年度に実施する模擬的討議の実施において、参加者のための旅費と謝金を支出する予定。またこれに関連する物品を購入する予定である。
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