研究課題/領域番号 |
24380121
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松本 武祝 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (40202329)
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研究分担者 |
安藤 光義 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (40261747)
戸石 七生 東京大学, 農学生命科学研究科, 講師 (20622765)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 水害常習地 / リスク管理 / 村落共同体 |
研究概要 |
今年度(第2年度)は、a)第1年度からの継続作業としての史料・資料収集および聞取り調査、b)第1年度に収集した史資料を用いたデータベース作成、c)史資料およびデータベースを用いた分析、d)一部の分析課題を対象とする地区ごとの比較分析、という4つの課題を設定していた。 具体的な成果としては、まず、石川県牛島地区での聞き取り調査・資料収集、利根川下流域(佐倉)での資料収集および韓国(韓国国家記録院)での資料収集を挙げることができる。また、信濃川・亀田郷土地改良区からは、昨年度の訪問の際に依頼していた資料の寄贈を受けた。これらの研究活動により、この研究に必要な資料の入手が大幅に進んだ。そして、それらの資料を整理し、必要な部分についてデータベースを作成した。 松本は、この作業をもとに、農村災害史研究の前提となるような試論的な論文を作成した。2014年7月には、今年度に作成したデータベースを活用して、学会報告を行う予定であり、その準備作業を行った。戸石は、災害リスクに対する対応という視点から、近世村落の機能に関する分析を深めた。その研究成果を、4度にわたって学会の個別報告として発表した。また、その成果の一部を論文にまとめて『共済総合研究』誌に投稿・発表した。さらに、2014年5月の学会発表に向けての準備を行った。安藤は、利根川下流域に関する実態調査および資料の整理を行い、研究成果として発表するための準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度の課題のうち、それぞれの対象地域に関する分析に関してはほぼ目標通りの進捗であったが、対象3地区の比較分析という課題に着手することができなかった。亀田郷土地改良区(信濃川)と朝鮮万頃江に関する資料は、まとまったかたちで大量に保存されていたために、資料の入手が比較的順調に進んだのに対して、新利根川土地改良区と石川県牛島地区の資料は残存状況が断片的であったために、入手作業が想定した以上に手間取った。前2者に関しては、データベース化の作業に想定以上の時間を費やさざるをえなかった。 以上の作業のために、全体として作業進捗が遅れ、比較分析という課題に行きつくことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は3年計画の最終年次である。進捗度がやや遅れ気味なので、これまで2年間にもまして時間と労力を投入することで、当初の分析目標を達成する。とくに、この研究の特徴的な課題ともなっている3つの事例の比較分析に関して集中的に取り組んでゆく。 そのために、これまで以上の頻度をもって研究会を開催し、議論をつうじて、それぞれが担当する分析対象地域の特徴を浮き彫りにしてゆく。そして、この過程で見いだされた論点は、学会報告や論文執筆という作業を通じて、広く学会に発信してゆく。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画では、研究代表者・研究分担者の3名が共同で調査対象地を訪ねて資料調査を行う予定にしていたが、十分な日程が確保できなかったために、いずれも単独での資料調査になってしまった。そのために、計画よりも出張費が少額にとどまった。 最終年次である来年度には、研究のまとめとして、研究対象地での資料調査およびその資料を用いたデータベースの作成とその分析を集中しておこなう。繰り越した予算は、そのための旅費および人件費として支出する予定である。
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