研究課題/領域番号 |
24380122
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中嶋 康博 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (50202213)
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研究分担者 |
細野 ひろみ 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (00396342) [辞退]
小林 和彦 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (10354044)
氏家 清和 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (30401714)
八木 洋憲 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (80360387)
二宮 正士 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (90355488)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | フードシステム / 6次産業化 / 産直 / 工場見学 / コミュニケーション / 都市農業 / ワイン |
研究実績の概要 |
理論的枠組みと制度分析については、以下のような分析・検討を進めた。①消費者行動・認知分析手法の最近の研究動向を明らかにするために、行動経済学の分野のレビューを進めた。②食品購買における直接コミュニケーションの機能と評価を食品製造業と農業の両面から行うこととした。農業の6次産業化総合計画書をもとに、6次産業化におけるコミュニケ-ション手段の実態を把握した。また、食品製造業の工場見学を対象に消費者行動のコミュニケーションにおける視点と情報提供の総合評価、そして行動に関する分析を行った。③食品の表示・認証制度の最新の動向を把握した。特に新しい食品表示法、食品安全規格、適正農業規範規格を中心に検討を進めた。④オルタナティブフードシステムの概念整理およびインターネット利用の可能性を検討した。新たに「R3コミュニケーション」からのアプローチを用いて考察を進めて、食品事業者や産直関係者など実務者との議論も行った。 国内および海外の実態調査において実施した研究事項のうち特徴的なものは以下の通りである。①生協による新たな産直基準の設定と実態の反応について検討を進めた。②第10次卸売市場整備基本方針について情報収集を行った。③都市農業の生産・販売活動を分析した。④6次産業化におけるインターネット利用への取り組み意向を検討した。⑤海外の調査については、特にワイン認証制度を総合的に検討した。 フォーカスグループインタビューやWEB調査などについては、次年度に行うこととした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
オルタナティブフードシステムの概念整理、その分析枠組みによる農業・食品産業の実態の再整理を行った。理論的検討、実態把握の積み重ねから、あらためて同概念の有効性を確認することができ、産直や直売所の機会の拡大、食品産業の積極的な消費者へのアプローチの強化とマーケティング手法への組み込み、安全・品質に関する認証制度の展開、農産物・食品の流通制度の見直しの必要性、都市農業への社会的な期待などの面で、高い説明力や分析力をもつことが明らかになった。 2015年には最新の産業連関表が公表され、マクロ統計によってわが国の食料消費額が低下し続けていることが改めて確認された。ミクロな消費動向についても基礎的な消費統計を分析して実態の把握に努めることができた。このような実態を踏まえた上で、行動経済学的な枠組みも取り入れた、現代の消費者の行動を把握する予定であったのだが、2015年度にそれを実施することができず、その解明に取り組むことが課題として残された。そこで研究期間を2016年度まで延長することとした。
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今後の研究の推進方策 |
生産、流通の実態については、おおむね研究活動は終了している。次年度においては、オルタナティブフードシステムと新たな消費者意識の枠組みを基にした消費者行動分析を進め、とりまとめを行う予定である。消費者行動に関する実証分析としては、フォーカスグループインタビューを実施して、最新の消費者意識の確認とソーシャルネットワークサービスを中心としたインターネット情報の評価を行う。あわせてWEB調査アンケートを実施して消費者行動の定量的な解析を行うこととする。これらの研究は、研究代表者の中嶋と、「食料消費の計量経済分析」を担当する氏家とが実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究組織における消費者行動分析グループでは、フォーカスグループインタビューを実施して、最新の消費者意識の確認とソーシャルネットワークサービスを中心としたインターネット情報の評価を行い、そこで明らかになった事実を基に仮説の設定をしながら、WEB調査アンケートを実施して消費者行動の定量的な解析を予定していた。しかし、残念なことに「消費者認知分析とコミュニケーションの評価」を担当する細野氏が交通事故により亡くなったために、この研究活動を中止せざるを得なくなった。この調査活動を共に担当することになっていた氏家(「食料消費の計量経済分析」担当)と研究代表者の中嶋とが、次年度に改めて研究を行うことで研究計画を変更した。
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次年度使用額の使用計画 |
主にフォーカスグループインタビューおよびWEB調査に残された予算を利用する。調査対象として十分な人数を確保できるだけの研究費を残している。また研究の実施やとりまとめにあたって必要な事務作業にかかる補助員を確保することとなる。なお、フォーカスグループインタビューおよびWEB調査は調査会社に発注するが、その予算管理は研究代表者が一括して行うこととする。
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