研究課題/領域番号 |
24380128
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 農林水産省農林水産政策研究所 |
研究代表者 |
吉井 邦恒 農林水産省農林水産政策研究所, 食料・環境領域, 総括上席研究官 (00356297)
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研究分担者 |
大山 達雄 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (30134323)
長谷部 正 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (10125635)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 農業保険 / 地域インデックス保険 / 収入保険 / 経営安定 / 農業リスク |
研究概要 |
1地域インデックス保険の制度設計を検討するため、統計データ及び農業共済加入者データを用いて、東北のある県の水稲について、様々な価格と収穫量の組合せを想定して、県ベースの収入額に基づく収入変動影響減少緩和対策と県ベースの価格と個人の収穫量実績に基づく収入保険方式による支払額を比較した。そして、(1)収入変動の緩和効果を10年間の収入の変動係数で評価すれば、収入保険方式の方が農家への支払額は少ないにもかかわらず多くの場合で変動係数が小さいこと、(2)当該県の水稲の収入保険については、10年間に1度の冷害による大きな被害を前提とすれば、1%~2.5%程度の保険料率(安全率は含まない)で制度運営が可能であること等の政策的含意を導出した。 2フランス、スペイン及びイタリアにおいて農業保険に関する調査を行い、(1)スペインは、30年を超える農業保険実施の経験の下で加入率が高い品目が多く安定的な保険運営が図られている、(2)フランスは、2005年から政府の保険料補助によるMPCIの普及を進めているが、政府による再保険が実施されていないため、制度の安定性の面に問題を残している、(3)イタリアは、加入率が12%程度と低く、また、単一リスク保険、複数リスク保険への加入が金額ベースで9割を超えており、リスク管理手段として農業保険を一層活用していくためには、MPCIへの移行とともに、加入率の向上が緊急の課題となっている等を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
地域インデックス保険の制度設計のための必要な国内調査、主要作物についての統計データ及び農業共済加入者データのデータベース化を行うことに加えて、整理したデータの一部を用いて、次年度実施予定の制度設計のための予備的な試算を実施した。また、海外の農業保険や経営安定対策に関する調査・分析等を実施し、取りまとめを行った。
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今後の研究の推進方策 |
諸外国における農業保険の実施状況に対する関心が高まっているため、ロシア等を調査対象に追加するとともに、農業者からは必ずしも支持されていないが、政策的に検討の必要性が高まっている経営単位の農業保険について、地域インデックス保険と対比しながら分析を行い、制度設計の検討を進めることとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は予定していた北米調査を諸般の事情から見送ったため直接経費次年度使用額が生じた。平成25年度はそれらを活用して、上述の研究対象の拡大に応じた国内調査や学会報告等の回数を増やしつつ、研究費を有効に活用し研究を推進していくこととする。
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