研究課題/領域番号 |
24380137
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
安永 円理子 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (00380543)
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研究分担者 |
大下 誠一 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (00115693)
高田 大輔 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (80456178)
二宮 正士 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (90355488)
細野 ひろみ 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (00396342)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 放射性セシウム / 放射性カリウム / モモ / リスク認知 / 土壌 |
研究概要 |
① 地域間比較のための栽培圃場の環境モニタリング(環境モニタリングユニット担当):昨年に引き続き,農産物の栽培圃場内の環境モニタリングを行うために,圃場の空間線量率と土壌における放射線核種濃度を計測した.地域別間の放射性物質濃度と土壌構成物質の差異を加味するため,A:福島県鮫川村,B:東京大学附属生態調和農学機構を調査対象地域とした. ② 農産物内の放射性物質の蓄積量の把握(農産物サンプリングユニットおよび放射性物質分析ユニット担当):昨年に引き続き,①の栽培圃場内の環境モニタリングに並行して,各種農産物の器官別の放射性物質の核種濃度を把握した.具体的には,根,茎,葉,および果実といった器官ごとに農産物の成長段階別に,サンプリングを行い,ゲルマニウム半導体検出器において放射性物質の核種濃度を計測した.放射性物質の移行過程の評価指標としては,土壌からの移行係数を各器官において算出した. ③ 消費者のリスク認知の把握(リスクコミュニケーションユニット担当):新たなハザードが認知されることによる,多様な食品リスクへの認知構造の変化と地域差およびその時系列的変化を探るとともに,リスク認知や食行動とメディア/サイエンスリテラシー,政府や企業への信頼,食生活観や世界観等の個人的状況との関連について web調査(調査I)を実施した.web調査の項目は,放射能問題および食品リスクに関する知識・情報保有状況,意識や態度の状況,リスク行動,リスク認知,情報提供とそれに対する理解,情報ソースや情報発信・メディアの活用状況,食生活観/世界観,信頼指標等で構成した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象とする地域の土壌や農産物への放射性セシウム含量の経年変化の把握については順調に調査を行っている.Web調査についても,被災地支援の一環として建設が進む植物工場についての学習用ビデオ作製も行い,順調であるが,Web調査結果の解析が若干遅れている.しかしながら,全体の流れとして概ね順調と判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
放射性物質の移行過程について得られた基礎データをもとに,リスク認知構造の変化を分析するが,アンケート調査票への記入では,限定された情報となってしまうために,消費者の情報収集行動や知識・態度の形成とそれが行動に結びつくプロセスを把握することが困難である.その対策として,対面でグループインタビューとしてフリーディスカッションを実施することにより,消費者の生の声を収集したい.
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度購入予定であった機器があったが,メーカーとの打ち合わせにおいて,使用用途と機器の性能の間の乖離が大きいことが判明し,機器の購入を見送ったため,その資金分を繰り越した. 消費者行動について理解するためのWeb調査の実施には多大な資金が必要であるため,繰り越した資金は,Web調査費用に充当する.
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