研究課題/領域番号 |
24380142
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
本郷 千春 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 准教授 (20272354)
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研究分担者 |
永田 修 独)農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター, 主任研究院 (90355462)
若林 勝史 独)農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター, 主任研究院 (00502890)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 環境対応 / 環境調和型農林水産 |
研究概要 |
本研究は、リモートセンシングデータを活用した土壌炭素貯留量推定手法、および土壌炭素動態モデルを組み込んだ解析により貯留量の将来予測の手法を確立することを最終目的としている。H24年度は日本を代表する畑作地帯である北海道十勝地域を対象として土壌炭素貯留量の推定および変化量の把握を行い、以下の結果が得られた。 (1)1985年と2012年に撮影された衛星画像とそれらに対応する実測調査データを用いて土壌炭素量の推定式を作成し、第1層の土壌炭素量を算出した。 (2)母材、土壌、地形区分別の土壌炭素量の分布の特徴を調べた結果、母材区分では1985年、2012年共に同様の傾向が見られ、火山灰由来で85.2Mg/haと最も蓄積炭素量が多く、次いで火山灰/沖積由来で 84.5Mg/ha、沖積由来では75.5Mg/haであった。火山灰由来が支配的な母材から沖積由来が支配的な母材になっていくにつれて炭素量は相対的に少なくなる傾向が確認された。土壌区分別に見た場合も、湿性黒ボク土で相対的に多く炭素量が蓄積されており、次いで褐色森林土、乾性黒ボク土、低地土の順に炭素量が多く、両年とも類似した傾向を示していた。地形区分別では、山麓地で炭素量が最大となり、扇状地性低地で最小であった。ローム台地では中位で炭素量が多く、次いで下位から上位に向かうにつれて炭素量が少なくなっていた。 (3)27年間の炭素量の増減を調べた結果、火山灰由来、火山灰/沖積由来の農地で土壌炭素蓄積量が増加しており、沖積由来の農地では減少していることが確認された。地力保全基本調査では表層である第1層より第2層の方の全炭素率が高い地点が調査地点39地点中に16地点存在していた。2012年に実施した土壌断面調査においても、第1層に下層土が混合したケースが数箇所確認されている。近年、耕うん技術の発達によって作土深が深くなっていることからも、第1層よりも第2層で全炭素率が高いような場所では、表層土壌に深層土壌が混入することによって見かけ上炭素量が増加していることが推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画していた、衛星データと現地実測データから表層の土壌炭素量を推定することに加えて、母材、土壌、地形区分別の変化量の把握を行ったこと、未耕地と耕地の土壌断面調査を行って炭素量の比較を行ったこと、炭素量が変化した要因特定のために生産者からの聞取り調査を実施したことなどの理由から、当初の計画以上に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
衛星データを用いた土壌炭素量の推定精度の向上を図ること、土壌炭素貯留量の将来変化を見積るために、衛星データから推定したピクセルベースの土壌炭素貯留量を初期値として用い、RothCモデルによる土壌炭素貯留量の変化が計算可能になるような方法論を検討すること、将来予測のためのシナリオを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究成果を第9回European Conference on Precision Agricultureにおいて発表する際の旅費、投稿論文の英文校閲および投稿料、土壌調査に掛かる諸経費として使用する。
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