研究概要 |
季節により環境条件が大きく変化する太陽光植物工場における周年栽培では,植物体の樹勢の維持が栽培管理における最重要事項である。そのためには,環境情報だけでなく,植物生体情報をも高度に利用した栽培管理・環境制御戦略が必須となる。熟練した栽培管理者(篤農家)は,「茎径」と「茎伸長速度」を参考に樹勢を正確に判定し,その判定結果に基づいて適切な栽培管理・環境制御を行っているが,現状では,樹勢の定義さえも不明確である。本研究では,樹勢判定の自動化を目的として,(1)茎径および茎伸長速度の測定法と解析法の最適化,(2)樹勢の数値評価指標策定(樹勢の定義),(3)測定を含めた樹勢判定プロセスの自動化を行う。平成24年度は,まず,茎径と茎伸長速度の測定・解析法の最適化を行った。ノギスとテープメジャー(茎周囲長を測定し,茎断面を真円と仮定して茎直径を算出)による茎径測定の精度比較を行った結果(測定対象個体8個体,測定者数7名),テープメジャーを用いることで,測定者が代わっても個体群の平均茎径の変化を一定の精度でモニタリングできることを明らかにした。さらに,樹勢判定を補助するインターフェースとして茎頂50cm部を模式表示するソフトウェアを開発した。また,測定者10名体制で,1.3haの大規模トマト生産温室で生育する1000個体のトマトを対象としたデータサンプリングを行い,生育状態の面的解析を行った。同時に,携帯型光合成蒸散測定装置(LI-COR,LI-6400)を用いた光合成蒸散機能のモニタリングも行った。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は,茎径・茎伸長速度など生育データを測定・蓄積するとともに,樹勢判定プロセスの自動化に着手するが,データ測定・蓄積は研究協力者(カゴメ(株))の各地の菜園で行う。そのための物品費,旅費,人件費・謝金に使用する。
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