家禽の輸卵管には精子貯蔵管(SST)と呼ばれる管状の構造が存在し、射精された精子を長期間貯蔵する。本研究では、SST内で精子の運動を低下させる仕組みを調べた。SSTが分布する子宮膣移行部の抽出物から精子の運動性を低下させる運動抑制物質として乳酸を同定した。射出精子を乳酸とインキュベートすると、精子の細胞内pHが低下し、これが精子の鞭毛運動を抑制することがわかった。SSTは生体内で低酸素状態になっており、SSTが大量の乳酸を産生する原因になっていると考えられた。乳酸を添加し低酸素条件にした培養液で精子を5日間貯蔵したところ、無処理の培養液と比較して5日後の精子の形態維持効果が認められた。
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