研究課題/領域番号 |
24380155
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
奥田 潔 岡山大学, その他の研究科, 教授 (40177168)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ウシ / 子宮 / 黄体 / PGF2α / 糖鎖 / galectin-3 / アポトーシス / 黄体退行 |
研究概要 |
本研究は効率的なウシの繁殖に寄与する「新規排卵周期制御技術の開発」に資する基礎的知見の集積を目的とし、子宮の prostaglandin F2α (PGF2α) 合成調節メカニズムを調べ、さらに PGF2α 感作後の黄体退行機構について研究を遂行し、これまでに以下のことを明らかにした。 1. ウシ子宮内膜上皮細胞から分泌された PGF2αは、上皮細胞自身の PGF2α 受容体に結合し、さらにその下流の phosphor-lipase C、protein kinase C ならびに MAP kinase を介して PGF2αの分泌を自己増幅的に刺激していることを示唆した。従って、この PGF2α の自己増幅により大量の PGF2α 血中へ放出され、黄体に内分泌的に作用することで黄体退行に重要な役割を果たすことが推察される。 2. ウシ黄体細胞において、細胞膜表面には糖鎖の存在すること、ならびに糖鎖のはたらきに重要な役割を果たすことが知られる galectin-3 の存在することが明らかとなった。また、PGF2α の感作によりウシ黄体細胞から galectin-3が細胞外へ分泌され、integrinβ1 上の糖鎖に結合することで黄体細胞自身のアポトーシスを誘導することが示された。従って、子宮由来の PGF2α による黄体退行には、galectin-3 および integrinβ1 を介する作用経路の存在する可能性が示された。 以上 2 つの成果をそれぞれ論文として取りまとめ、1. に関しては生殖科学分野の国際専門誌である Biology of Reproduction に投稿する準備を進めており、2. に関しては同専門誌に投稿済みであり、現在査読中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画以上に研究が進み、学会発表および学術雑誌への投稿による対外発信も積極的に行うことができているため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、黄体退行における galectin-3 および糖鎖の役割について研究を遂行する。また、ウシの生体に PGF2α を投与し、その後経時的に採取した黄体組織ならびに血漿サンプルを用いて次の研究段階にステップアップする予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画にあるウシ生体を用いた研究を今年度はスタートさせなかったため、それに必要であった消耗品類の購入を行わず、次年度使用額が生じた。 平成26年度にはウシ生体を用いた研究をスタートさせるため、25年度に未使用であった金額すべてをこのウシ生体を用いた研究に必要な消耗品の購入に充てる予定である。
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