研究課題/領域番号 |
24380160
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
池田 正浩 宮崎大学, 農学部, 教授 (60281218)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 薬理学 / アクアポリン / 小胞体 / カルシウム |
研究概要 |
我々が発見したAQp11は、小胞体に局在するユニークな水チャネル分子である。KOマウスの研究から、AQp11は生後の腎の発達に必須の分子で、小胞体の機能調節に重要な役割を果たしていると考えられる。しかし、AQP11の小胞体における分子機能については全く明らかにされていない。本研究の目的は、AQP11ファウンダーの利点を生かして、AQP11の小胞体における役割、特に小胞体が細胞内カルシウム貯蔵器官であることに着目して、イメージング解析、プロテオーム解析などを行い、AQP11の小胞体における分子機能を明らかにすることである。具体的な研究項目としては、次の3つを計画している。1.AQp11結合タンパク質の同定、2,AQp11の小胞体カルシウム貯蔵量調節メカニズムの解明、そして3.小胞体ストレス応答におけるAQP11の関与についての検討。 1.AQP11結合タンパク質の同定 腎由来細胞株を用いてAQP11を発現させ、特異的に結合するタンパク質をプロテオーム解析手法により調べた。その結果588種類のタンパク質の同定に成功した。これらのタンパク質の中には、カルシウムイオン輸送、小胞体ストレス、細胞質から核内へのタンパク質輸送に関与するものなどが含まれていた。今後、これらの再現性を確認するとともに、検証実験を実施する。 2.AQP11の小胞体カルシウム貯蔵量調節メカニズムの解明 本項目を達成するために、小胞体内カルシウムイオン濃度をリアルタイムにモニタリングする系の確立に取り組んだ。その結果、小胞体に局在するように細工したエステラーゼを細胞に発現させることによって、その系の確立に成功した。 3.小胞体ストレス応答におけるAQP11の関与についての検討 小胞体ストレス応答→カスパーゼ3活性化→ミトコンドリア機能不全→活性酸素量増加→細胞障害の経路に対して、AQp11が保護的な役割を担っている可能性を見出した。また、このAQp11の役割が、in vivoにおいて高グルコースによる腎障害においても重要であることを示唆するデータも得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画では、研究実績の概要に記載した項目1および項目2を実施する予定であった。しかし平成24年度には、項目3についても一部研究を実施できた(当初予定していた項目3の研究開始は平成25年度以降を予定していた)。以上の理由から、(1)の評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
順調に進捗しているので、計画通り研究を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度には、予想以上の種類の結合タンパク質が同定された。そのため平成25年度においては、検証実験を含めて具体的に実施する実験項目が増加することが予測された。そこで、基金の一部を平成25年度に繰り越す計画に変更した。平成25年度には、繰り越した研究費と当初予定の研究費とを合わせて効率的に実験を進める。なお、実験項目増加に伴う予算費目は全て消耗品費である。
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