研究課題/領域番号 |
24380161
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
米澤 智洋 北里大学, 獣医学部, 講師 (10433715)
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研究分担者 |
汾陽 光盛 北里大学, 獣医学部, 教授 (00153007)
久留主 志朗 北里大学, 獣医学部, 准教授 (50215076)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | シグナル伝達 / 獣医学 / 生理学 / 畜産学 / 遺伝子 / プロラクチン / 受容体 / 性周期 |
研究概要 |
ラットやマウスの黄体は、黄体形成後3日目にあたる発情休止期2日目の午前までにプロラクチン(PRL)の刺激を受けることで機能化し、十数日以上にわたってプロジェステロン産生能が維持される。ところが、同日の午後以降にPRLの刺激があると、黄体は機能化することなく、逆にアポトーシスを起こして退行する。すなわち、発情休止期2日目午後に、黄体細胞に不可逆的な機能変化が起こり、黄体の退行が運命づけられている。本研究では、PRL受容体のアイソフォームが黄体の運命決定に及ぼす分子メカニズムについて明らかにすることを目的とした。 Wistar-Imamichi系成熟雌ラットを実験に供し、性周期各時期(発情休止期1日目、2日目、発情前期、発情期)の午前と午後に卵巣を摘出して、PRL受容体ロングフォーム、ショートフォーム、およびそのシグナル伝達因子についてReal-time RT PCRおよびウェスタンブロットを行った。その結果、黄体退行の始まる時期と考えられる発情休止期の午後に、ロングフォームとショートフォームの発現比率がRNAレベル、タンパクレベルともに入れ替わり、ロングフォーム主体の発現がみられるようになった。 次に、ロングフォームの発現のみを抑制するスプライシング切替オリゴマーを設計した。オスモティックミニポンプを用いてこの薬剤を持続的に投与し、性周期の観察と投与後5日目の血中性ステロイド濃度の測定を行った。対照投与群では正常な性周期が観察されたのに対し、スプライシング切替オリゴマー投与群では、薬剤用量依存的に発情休止期の延長がみられた。もっとも高濃度のときには5日間の発情休止期の延長がみられた。投与後5日目の各マウスの血漿中プロジェステロンの濃度はロングフォームの発現量と正比例していた。 以上より、ロングフォームが黄体の機能、および寿命の決定に中心的な関わりをもつことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定した実験計画1~4のうち、平成24年分として計画した、度実験1と2について、一定以上の成果が得られたので。また、本研究で大きな山場である、マウスのスプライシング切替オリゴマーの作製に成功したので。
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今後の研究の推進方策 |
成熟雌ラットの卵巣嚢内にスプライシング切替オリゴマーをin vivoトランスフェクションし、特定のPRL受容体アイソフォームをノックダウンすることでアイソフォーム特異的な生理機能を解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品の消費が予定より下回り、繰越金384,602円のうち海外で使用した立替分257,303円を除いた127,299円が実際の繰越金として得られている。これと合わせて、次年度研究費は主にラット用のスプライシング切替オリゴマーの作製や組織のRNA発現の解析などに使用する。
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