研究課題/領域番号 |
24380164
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松本 安喜 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (90251420)
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研究分担者 |
山川 隆 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (20134520)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 家禽 / 食べるワクチン / ベータグルカナーゼ / ニューカッスル病ウイルス / オオムギ |
研究概要 |
我々はこれまでに、病原体由来感染防御遺伝子を導入した飼料作物をワクチンとして用いる、いわゆる“食べるワクチン”の有用性を、飼料作物としてコメおよびオオムギを用い、感染病原体としてブタ回虫など対象として検討してきた。本研究は、対象動物をニワトリとした場合の食べるワクチンの有用性を検討する。ニワトリはオオムギを摂食すると、β-1,3-グルカンを分解できずに消化不良を起こすため、βグルカナーゼ遺伝子を導入した組換えオオムギに、さらに感染防御蛋白遺伝子を導入し、その免疫効率および感染防御効果を検討する。 平成24年度は、コドンをオオムギ型に最適化した改変遺伝子の合成、最適化されたNDV由来F,HNおよびLTBのコムギ胚芽無細胞蛋白産生系による蛋白合成およびマウス免疫抗血清の作製、ワクチン抗原遺伝子を導入した組換えオオムギの作出を計画した。初めに、オオムギに導入するニューカッスル病ウイルス(NDV)由来遺伝子産物の可溶性を確認するため、大腸菌を用いて、我々の分離したNDV/Bali-1/07株よりF遺伝子およびHN遺伝子をクローニングし、その細胞外領域全域および部分断片をプラスミドベクターに組込み、大腸菌による組換え蛋白の産生を試みたが、HN蛋白のstalk領域以外のNDV由来F/HN遺伝子産物はすべて不溶化した。そのため、新たに可溶性となる遺伝子を作製する必要が生じた。検討の末、F蛋白N末側のHR1領域の可溶化に成功した。また、本来ウイルスエンベロープ膜蛋白であるFおよびHN蛋白をオオムギにそのまま導入することも考慮し、動物細胞にF/HN遺伝子全域をそれぞれ発現ベクターに組込み、動物細胞に導入したところ、F蛋白の産生を確認した。次年度以降、これらの遺伝子を組込んだプラスミドを作出し、オオムギに導入する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
オオムギに導入する予定のNDV遺伝子の発現産物が不溶化する可能性があったため、導入遺伝子のデザインを検討する必要が生じたため、組換え植物作出の過程に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
大腸菌産生により可溶化した蛋白のウイルス中和抗体誘導能を検討するとともに、動物細胞発現系により、最適な導入遺伝子のデザインを検討する。それらを踏まえ、オオムギへの遺伝子導入を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究において、当初、オオムギに導入するニューカッスル病ウイルス(NDV)由来遺伝子産物を可溶性の蛋白として、産生させることを計画しており、導入遺伝子発現産物の形状を確認するために、大腸菌を用いて組換え蛋白の産生を試みたが、平成24年7月、NDV由来F/HN遺伝子産物が不溶化した。そのため、新たに可溶性となる遺伝子を作製する必要が生じた。その結果F遺伝子の可溶性となる断片を得た。また、本来ウイルスエンベロープ膜蛋白であるFおよびHN蛋白をオオムギにそのまま導入することも考慮し、本年度に、動物細胞において蛋白の産生を確認した。これらの遺伝子を組込んだプラスミドを作出し、オオムギにオオムギに導入する実験を平成25年度に繰り越す必要が生じた。 遺伝子導入プラスミドの作製に関わる物品費として280,000円、グルカナーゼ遺伝子導入オオムギの入手およびオオムギへの遺伝子導入を米国ワシントン州立大学で行うための旅費および人件費、並びに物品送付等に関わるその他経費50,000円を平成25年度に持ち越し使用する。
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