研究課題/領域番号 |
24380164
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松本 安喜 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (90251420)
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研究分担者 |
山川 隆 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (20134520)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 家禽 / 食べるワクチン / ベータグルカナーゼ / ニューカッスル病ウイルス / オオムギ |
研究実績の概要 |
平成25年度から引き続き、平成26年度もイネにニューカッスル病ウイルス(NDV)FおよびHN遺伝子を組込んだpAM470プラスミドベクターにより形質転換したアグロバクテリウムを混合した後イネ胚性カルスに感染させ、カルスおよび再分化体の作製を行った。薬剤マーカーであるBialaphosの濃度をカルス選択培地は5 mg/ml、再分化培地において5 mg/mlとしたところ、400程度のカルスから再分化体が得られなかったため、再分化誘導培地において0~5 mg/mlの条件で処理したところ、470程度のカルスより、2個体のF遺伝子およびHN遺伝子の両方が導入された再分化体2個体、3および26個体のF遺伝子およびHN遺伝子単独導入再分化体がそれぞれ得られた。現在これら再分化体の種子における蛋白産生の確認を行っている。また、並行して、FおよびHNコドンをオオムギ/イネ型に最適化した遺伝子を合成し、それらを用いた組換え体の作出も現在試みている。 NDV感染系については、平成26年12月に農水省の認可が得られたため、平成27年2月より、鶏へのNDV感染実験を開始した。発育鶏卵漿尿液より回収したNDV/07/Bali-1株を100倍階段希釈し、SPF鶏(日生バイオ社、ラインM)に点眼により左眼に感染させたところ、4-7日後に死亡した。攻撃感染に用いるNDV/07/Bali-1株ウイルス量は、100,000~10,000TCID50程度が適当であると思われた。また、HR1ペプチドを鶏に免疫した血清には、NDV中和活性が認められたが、予備的にHR1ペプチドで免疫した鶏は、抗体レベルが中和活性が認められた鶏ほど抗体化が上がらず、感染防御されなかった。、
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
鶏の実験感染系の確立に時間を要した。また、植物体でのワクチン抗原産生効率を上げるため、コドンを最適化させた遺伝子を合成したため、それを用いた組換え植物作出が、年度内に間に合わなかった。
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今後の研究の推進方策 |
コドン最適化したNDV FおよびHN遺伝子導入体の作出を最優先とする。 また、NDVのFタンパクとHNタンパクは、複合体を形成して小胞体からウイルス表面(細胞膜)に移動すると報告されていることから、F遺伝子とHN遺伝子を単独に導入したアグロバクテリウムを混合して胚性カルスに感染させたところ、F遺伝子導入体の樹立効率が悪かったため、平成27年度には、それぞれ単独に感染させ、後に交配させる。 HR1については、効率的免疫方法を確立し、in vitroでのNDV中和活性を有するまで免疫した鶏へのNDV攻撃試験を行い、その感染防御効果を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
種子でのワクチン抗原蛋白産生量増加を目指し、オオムギ用にコドン最適化させたNDVのFおよびHN遺伝子を合成する必要が生じたため、オオムギへの遺伝子導入実験が期間内で終えられなくなった。また、NDV感染実験について農水省からの許可を得るのが遅延したため、免疫・感染実験の実施予定が平成27年度にずれ込んだ。
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次年度使用額の使用計画 |
遺伝子導入プラスミドの作出に関わる物品費および鶏免疫・感染実験のための消耗品費として1,227,050円、グルカナーゼ遺伝子導入オオムギの入手およびオオムギへの遺伝子導入を米国ワシントン州立大学にて行うための旅費、滞在費として1,200,000円、さらに人件費として1,000,000円を27年度に持越し使用する。
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