研究課題/領域番号 |
24380169
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
神志那 弘明 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (50506847)
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研究分担者 |
漆谷 真 滋賀医科大学, 分子神経科学研究センター, 准教授 (60332326)
加藤 信介 鳥取大学, 医学部, 准教授 (60194817)
前田 貞俊 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (50377694)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 変性性脊髄症 / ミスフォールド / 神経変性 / ALS / ミクログリア |
研究概要 |
本研究の目的は,変性性脊髄症(DM)における神経細胞死の分子病態メカニズムを解明し、活性型ミクログリアの制御に着目したDMに対する分子標的治療の有効性を明らかにすることである。H24年度は計画を一部変更し、イヌ変異型SOD1蛋白特異的モノクローナル抗体の作製を開始した。野生型および変異型(E40K)リコンビナントイヌSOD1蛋白をそれぞれマウスに免疫し、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを33株作製した。これら33株から、イヌ変異型SOD1蛋白特異的抗体産生クローンをELISA法により5株選択した。それぞれのモノクローナル抗体を用いて、イヌ野生型および変異型SOD1遺伝子導入培養細胞に対する免疫染色により、イヌ変異型SOD1蛋白に対し特異性の高いモノクローナル抗体産生クローン2株が得られた。また、SOD1遺伝子型が正常型ホモ接合体、ヘテロ接合体、変異型ホモ接合体を有する剖検脊髄を使用し、抗体の特異性の検証を開始した。モノクローナル抗体作製時に得られたポリクローナル抗体による免疫染色では、変異型ホモ接合体症例の脊髄神経細胞内にはSOD1陽性の凝集体様構造物が検出され、変異型SOD1蛋白の凝集がDMの病態発生に関与している可能性が示された。DM剖検脊髄からのミクログリアの分離と培養は手法がまだ確立されていないため、H25年度に引き続き継続する。H24年度はDM症例の剖検および病理組織学的検査を11例実施し、組織学的知見の蓄積を行っている。これらの情報は、抗体療法を実施する際の非治療群の情報として活用される。また、これらの症例からの脊髄および脳組織はH25年度以降に行う抗体のスクリーニングや病態解明の解析に使用する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H24年度はDM症例からのミクログリアの分離を行い、DM病態発生における活性型ミクログリアの役割について検討する予定であったが、技術的な問題から分離法はまだ確立できていない。そのため、計画の一部を変更しイヌ変異型SOD1蛋白特異的モノクローナル抗体の作製を開始した。現在までに変異型蛋白に対し特異性の高い抗体が得られており、H25年度以降の研究に活用できると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに取り組んでいるDM剖検脊髄からのミクログリアの分離はH25年度も継続する予定である。分離法が確立できない場合には、イヌキメラモノクローナル抗体の作製を進め、早期に実験犬に対する髄腔内投与の安全性試験を開始できる準備にとりかかる。
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