研究課題
本研究の目的は、変性性脊髄症(DM)における神経細胞死の分子病態メカニズムを解明し、活性型ミクログリアの制御に着目したDMに対する分指標的治療の有効性を明らかにすることである。H26年度は、DM剖検例の脊髄組織における活性型ミクログリアの分布および神経障害因子の産生について解析を行なった。DMの脊髄では、神経変性に先立ち、活性型ミクログリアが出現し、神経障害因子の産生が認められた。脊髄病変において、活性型ミクログリアと活性型アストロサイトが集蔟するが、変異型SOD1タンパクは変性神経細胞と活性型アストロサイトに高度に蓄積していることが明らかとなった。また、本研究で作製した犬変異型SOD1タンパク特異的抗体を用い、DMの初期病態を反映すると考えられるSOD1へテロ接合体の脊髄組織を解析した結果、変異型SOD1タンパクは変性神経細胞には蓄積せず、集蔟した活性型アストロサイトに蓄積することが明らかになった。また、ごく初期の脊髄変性病変においても、活性型ミクログリアの集蔟が認められた。このことから、DMにおける神経変性の初期病態において、アストロサイトへの変異タンパクの蓄積と活性型ミクログリアの集蔟が重要であると考えられる。一方、H26年度に計画していた活性型ミクログリア制御に用いる犬変異型SOD1タンパク特異的抗体の選出と同抗体のイヌキメラ化、実験犬およびDM症例における安全性試験は、DM由来ミクログリアの培養系の確立が難航したため、目標達成には至らなかった。ミクログリア培養系の代替案として、iPS細胞を用いたDM疾患特異的神経細胞およびミクログリア培養系の確立を今後計画している。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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