研究課題/領域番号 |
24380172
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
稲葉 俊夫 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (00137241)
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研究分担者 |
今井 裕 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (10303869)
杉浦 喜久弥 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (30171143)
鳩谷 晋吾 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (40453138)
玉田 尋通 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (10155252)
川手 憲俊 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (80221901)
谷 浩行 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (00305658)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 再生医療 / 統合動物科学 / ES細胞 / iPS細胞 / バイオテクノロジー / イヌ |
研究実績の概要 |
本研究は、ヒトと共通の疾病が自然発症するイヌに着眼し、ヒト再生医療の実用化を円滑に進め得るトランスレーショナルリサーチの一つとして、イヌ胚性幹細胞(ES細胞)および人工多能性幹細胞(iPS細胞)の血液系再生医療に向けた応用的基盤技術の開発を目的としている。本研究年度では、2種類のリプログラミング誘導系を用いたiPS細胞の作製、低分子阻害剤を用いた胚体外内胚葉細胞の作製、および顕微授精による体外成熟卵子から胚盤胞期胚の作製について検討し、以下の結果を得た。 1.イヌ胎子線維芽細胞にドキシサイクリン誘導性レンチウイルスベクターを用いて、ヒト由来の4つの多能性関連転写遺伝子(OCT3/4、SOX2、KLF4およびc-MYC)を導入することにより、無血清・無フィーダー細胞培地で長期継代培養と凍結保存の可能なことに加え、既報のイヌiPS細胞で必須とされる白血病阻害因子(LIF) も必要とせず、Erk1/2シグナルを介して未分化状態を維持している着床後後期胚盤胞期胚から得られるエピブラストの特性を有する新規のイヌiPS細胞株を作製した。 2.これまで生殖系列細胞を含むすべての組織・器官に分化するナイーブ型iPS細胞株はマウスでしか樹立されていなかったが、今回、ウシナイーブ型iPS細胞株をpiggyBacおよびドキシサイクリンを用いたリプログラミング誘導系により、作製することに成功した。 3. 上記の核初期化因子を導入したイヌ体細胞を、アクチビンレセプター様キナーゼ阻害剤、p38分裂促進因子活性化たんぱく質キナーゼ阻害剤などの低分子化合物の存在下で培養することにより、長期継代可能で肝細胞様細胞および白血球系細胞へ分化し得る胚体外内胚葉細胞株の作製に成功した。 4.ネコにおいて伸長精子細胞およびフリーズドライ精子を用いた顕微授精により、体外成熟卵子から胚盤胞期胚を得ることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度に予定していた臨床応用の検討には至らず、来年度から行うこととなったため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に引き続いて、①piggyBacおよびドキシサイクリンを用いたリプログラミング誘導系によるイヌ体細胞から全能性を有するiPS細胞株の樹立、②イヌ固有のトロンボポエチン、エリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子などの造血系への分化を誘導する特異的サイトカインを発現するフィーダー細胞を作製中であり、イヌES細胞・iPS細胞から血小板および顆粒球等の血液系細胞へ効率的に分化誘導する技術の開発、および③iPS細胞の臨床応用を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
補助事業の目的をより精緻に達成するための研究(学会参加、論文投稿など)を実施するため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究成果を第14回国際幹細胞学会(2016年6月22日~25日、米国サンフランシスコ)で発表するための旅費として、および投稿中の論文(Stem Cells and Development)の投稿料として使用予定。
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