研究課題
これまでの研究から犬の組織球性肉腫細胞はJNK経路のキナーゼを介した14-3-3 protein gammaの恒常的なリン酸化に強く依存して増殖していることが示された。さらに、ダサチニブはJNK経路のキナーゼに作用し14-3-3 protein gammaの恒常的なリン酸化を抑制することで犬の組織球性肉腫細胞の増殖を抑制することが示された。これらのことから、ダサチニブは犬の組織球性肉腫に対する新たな治療薬となることが示唆された。一方、in vitroで培養した腫瘍細胞と異なり、in vivoで形成された腫瘍は微小環境の作用により薬物の影響を受けにくくなることがある。従ってin vitroで示された腫瘍細胞に対するダサチニブの効果が、in vivoにおいて必ずしも再現されるわけではない。ダサチニブの臨床応用を考慮する上で、ダサチニブがin vivoにおいてもHS細胞に対して増殖抑制効果を示すか否かを検討する必要がある。そこで平成26年度は、14-3-3 protein gammaが恒常的にリン酸化しているCHS-1細胞を用いて犬HS移植マウスモデルを作製し、ダサチニブの効果を検討した。その結果、ダサチニブはin vivoにおいてCHS-1細胞に対して増殖抑制効果を示すことが明らかとなった。ダサチニブ投与群の腫瘤組織では、コントロール群の腫瘤組織に比べて有糸分裂指数およびKi-67指数が有意に低く、アポトーシス指数が有意に高かったことから、ダサチニブによる移植腫瘍の増殖抑制は細胞分裂の抑制と細胞死の促進により引き起こされたと考えられた。今回の結果から、ダサチニブはCHS-1細胞に対してin vivoで増殖抑制効果を示すことが明らかとなり、HS症例において腫瘍細胞の14-3-3 protein gammaが恒常的にリン酸化している場合には、ダサチニブの効果が期待できると考えられた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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