研究課題/領域番号 |
24380180
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
中村 雅哉 独立行政法人森林総合研究所, きのこ・微生物研究領域, チーム長 (50353793)
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研究分担者 |
片山 義博 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (10214339)
敷中 一洋 東京農工大学, 工学系研究院, 助教 (00507189)
大塚 祐一郎 独立行政法人森林総合研究所, バイオマス化学研究領域, 主任研究員 (80455261)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | リグニン / バイオマス |
研究概要 |
リグニンの微生物分解経路中に存在する代謝中間体で、有用化学原料としてポテンシャルを有する化合物を精査した。 リグニン分解微生物Sphingobium sp. SYK-6株は、低分子化リグニン化合物の代謝過程でプロトカテク酸(PCA)の芳香環炭素の4,5位間を開環して、高分子材料へ展開が可能な2-pyron 4,6-dicarboxylic acid(PDC)に変換して、最終的には水と二酸化炭素に分解している。一方、PCAの芳香環炭素の3,4-位間を開裂するPCA 3,4-dioxygenaseに注目し、PCA3,4環開裂系の代謝経路下流を精査したところ、高分子材料へ展開が可能なジカルボン酸類としてcarboxymuconolactoneというユニークな物質があることが明らかとなった。そこでPCA分解菌であるPseudomonas putida KT2440株を供試菌としてPCA 3,4-dioxygenaseをコードするpcaHGをクローニングした。また、Neurospora crassaから3-carboxy-cis,cis-muconate lactonizing enzymeをコードするpcaB(E)をクローニングした。これらの遺伝子を再構成した発現ベクターを構築し、P.putida Ppy1100株をホストとした3-carboxymuconolactone(3-CML)への変換系を構築したところ、形質転換微生物はPCAから3-CMLを生産していることが明らかとなった。リグニンの微生物代謝中間体であるPDCを基にしたエンジニアリングプラスティックスへの展開にも取り組み、PDCの持つカルボン酸の酸クロリド化と芳香族ジオールとの重縮合を通じ、熱可塑性ポリエステルを合成した。得られたポリマーはPDCに直接結合した芳香族の存在に起因すると考えられる高い熱分解温度を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PCA3,4-dioxygenase、3-carboxy-cis, cis-muconate lactonizing enzymeをコードするpcaHGpcaHG、pcaB(E)をクローニングし、これらの遺伝子を再構成してPCAから3-carboxymuconolactone(3-CML)への変換系を構築に成功している。 また、もう一種の有用微生物代謝中間体であるPDCを基にしたエンジニアリングプラスティックスへの展開にも取り組み、熱可塑性ポリエステルの合成に成功している。このことより、3年間の研究計画は着実に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
プロトカテク酸4,5位開裂機能、プロトカテク酸3,4位開裂機能、ケトアジピン酸エノールラクトンヒドラーゼ機能をそれぞれ再構成し、PDC,CML,KAD発酵生産バイオリアクターの構築に取り組む。また、PDC、CML等有用代謝中間体の誘導体化、ポリマー化に取り組む。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品の一般競争入札による差額として生じた。本年度、酵素反応装置の購入に充当予定
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