研究課題
基盤研究(B)
ヒトを含む動物の体は、細胞だけでなくそれを取り巻く細胞外基質(コラーゲンなど)から構成されている。最近、細胞は細胞外基質の物理的な性質-堅さ-を感知(メカノセンス)し、それに基づいて自らの運命を決定していることがわかってきた。たとえば多能性幹細胞は細胞外基質が堅いと骨細胞へ、柔らかいと脂肪細胞へ分化する。細胞は、細胞外基質との接着装置(細胞接着斑)を介して細胞外基質を引っ張り、堅さに釣り合う細胞内張力を知ることで細胞外基質の堅さを感知すると考えられているが、実際の感知に関わる分子、および感知した結果を化学シグナルに変換する仕組みについては不明である。本研究では申請者がこれまで研究してきた細胞接着斑タンパク質ビンキュリンに着目し、これらの仕組みを明らかにすることを目的としている。平成24年度は、硬さの異なる細胞外基質上で細胞を培養し、そのときのビンキュリンの挙動が硬さによって調節されていることを明らかとした。また、ビンキュリンの変異体の安定発現株を作成し、硬さに依存した調節に関わる領域を特定した。また、ビンキュリンとその結合タンパク質ビネキシンを大腸菌で発現させ、精製した。これらの蛋白質を用いてin vitroでビンキュリンの活性を明らかにすることで、ビンキュリンによる細胞外基質の硬さの感知のメカニズムの一端を明らかとした。
1: 当初の計画以上に進展している
ビンキュリンが細胞外基質の硬さのセンサーとなることをクリアに示しつつある。今後の展開も多いに期待できる。
細胞外基質の堅さを変えて細胞を培養し、様々なシグナル伝達の強さを調べる。また多能性幹細胞を用いても解析する。これらの研究に必要な細胞系を構築する
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (1件)
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