研究課題
最近、細胞接着の有無や細胞外基質分子(コラーゲンなど)の種類だけではなく、細胞外基質の物理的な性質、すなわち硬さが細胞の挙動に大きな影響を与えることが明らかとなってきた。現在細胞外基質の硬さを感知する「メカノセンサー」が研究の焦点となっている。昨年度までの研究で、接着斑タンパク質のひとつビンキュリンとその結合タンパク質ビネキシンがメカノセンサーとして細胞外基質の硬さの感知とそれに伴う細胞機能の調節に関わることを示してきた。平成26年度は、ビネキシンと相同性の高く遺伝子ファミリーを形成しているCAPとArgBP2のビンキュリンに与える効果について検討した。CAPはビネキシンと同様細胞外基質の硬さに応じたビンキュリンの挙動変化に関与することが示唆された一方、ArgBP2はそのような機能を持たなかった。このことから、ビネキシンのファミリー分子は相同性が高いにもかかわらず、メカノセンサーとしては異なる機能を持つことがわかった。また、細胞外基質の硬さはがんの悪性化と密接な関係が示唆されている。さらに、ビネキシン結合タンパク質Dlg5はがんとの関連が示唆されている。そこで、ビネキシン結合タンパク質Dlg5について前立腺がんでの機能解析を行った。その結果、ビネキシン結合タンパク質Dlg5はAkt-Gridin経路を調節することで前立腺がんの悪性化に関わっていることが示された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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