本研究では、研究代表者が発見した核のヒストンH1を標的とする「制御性抗体」による過剰免疫応答抑制の分子基盤を明らかにすると共に、当該知見を難治性炎症疾患の治療へと応用することを目的とした。 まず、抗ヒストンH1抗体のT細胞活性化抑制作用を規定する標的抗原候補をマウス初代T細胞および同抗体との反応性が亢進したマウスT細胞亜株をソースとしたプロテオーム解析により探索・同定した。更に、抗ヒストンH1抗体が肥満細胞を作用点として抗アレルギー作用を示すのみならず、敗血症性肺障害モデルマウスに対して抑制効果を示すことも発見し、本抗体が多彩な起炎症性の難病に対して治療効果を発揮しうることを実証した。
|