研究課題/領域番号 |
24390001
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岩渕 好治 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (20211766)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 空気酸化 / アルコール酸化 / 酸化触媒 / 銅ニトロキシド / 不斉酸化 |
研究概要 |
本研究は、先に申請者らが独自に開発した高活性有機ニトロキシルラジカル型アルコール酸化触媒AZADO(azaadamantane N-oxyl)の特性開発研究の途上において見出した新奇知見、すなわち、AZADO/Cu(OTf)2/bipyridylをモチーフとするハイブリッド型触媒が、アミノアルコール基質のアルコール部を高化学選択的に酸化してアミノカルボニル化合物を与える反応の有用性を開発して、精密有機合成化学の立場から創薬研究への貢献を目指すものである。 三年計画の初年度にあたる本年度は、まず、多様な有機ニトロキシルラジカルを合成し、Cu(IorII)/bipyridyl/N-methyl-imidazoleとの連携によって発現するアルコール空気酸化活性の特性と適用性を検証した。その結果、2級アルコールの酸化ではAZADO/Cu(OTf)2/bipyridylが良好な結果を与えるが、1級アルコール部を有するアミノアルコールの酸化においては、1-Me(AZADOが最適触媒となることが判明した。TEMPOでは、アミノアルコールの酸化自体が殆ど進行しないことは興味深い。驚くべき事に、AZADO/Cu(OTf)2/bipyridyl/02システムは第1級アミンをもつアミノアルコールの酸化も高収率で実現することも確認した。このようなユニークな選択性を発現する酸化システムには前例がなく、含窒素化合物の分子設計・効率合成に資する新たな手法となることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多様なアミノアルコール(1級~3級アミノ基、1級~2級アルコールの全ての組み合わせ)での本反応の適用性を検証を済ませ、天然物合成への応用を行い、有用性を実証できた(投稿準備中)。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度までに見出した高性能アルコール空気酸化触媒システムの有用性拡張を目指し、有機ニトロキシルラジカルとリガンドを連結した「機能集積リガンド」を種々合成して、その触媒性能を検討する。その構造_活性相関から、反応機構モデルのさらなる精密化を図る。基質適応性を網羅する触媒の獲得を目指してキラルアザアダマンタン類の新規合成法の検討を開始する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究申請時に購入を計画していた備品が別予算で購入できたため、助成金として繰り越した。この繰り越し分を、試薬および金属触媒用リガンドの購入に充てて検討範囲を広げて、所期に掲げた目的への到達を急ぎたい。
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