不活性C(sp3)-H結合の触媒的官能基化は革新的医薬合成法の確立に寄与する重要研究課題である。しかしながら生物活性物質などの合成に応用された例は少数である。最大の理由は位置選択性の欠如、すなわち数あるC-H結合の中で特定のものだけを活性化する一般的手法が未確立であることが挙げられる。この問題解決を目指し、配向基を利用した反応点の制御法を研究した。その結果、N-hydroxyphthalimide(NHPI)を誘導体化した新規配向活性化基 を開発し、不活性C(sp3)-H結合の酸素酸化反応に応用できることを実証した。特にリンカーを変えることで、2種類の位置を選択的に構造修飾することが可能となった。
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