研究課題
1) アルキン-集積型二重結合のPauson-Khand型反応の開発とscytonemin類縁炭素アナログの合成シアノバクテリアの一種であるScytonemaの葉鞘から単離されたシクロペンタ[b]インド一ル-2(1H)-オン二量体アルカロイド,scytoneminは,脂溶性の紫外線吸収色素で抗酸化作用や抗炎症作用を示すことに加え,抗腫瘍活性を示すことからその類縁体にも同様の効果が期待される.今年度は合成したscytoneminの炭素アナログの結晶化に成功し,X線結晶構造解析によりその立体構造を明らかにした.また, 紫外可視吸光測定をおこなったところ,scytoneminにおいて特徴的とされている波長400 nm付近のUV-Aの吸収が見られないことを明らかにした.2) (+)-Kopsihainanine Aの不斉全合成KopsihainanineAは,中国海南省のKopsiahainanensisの葉と茎から単離構造決定された新規6/5/6/6/6員環構造をもつ五環性インドールアルカロイドであり,アセチルコリンエステラーゼ阻害活性を示す.昨年度,ラセミ体でのkopsihainanineAの全合成を達成した.今年度,その不斉全合成を目的に検討を行ったところ,不斉辻-アリル化反応が首尾よく進行し,KopsihainanineAの光学活性体を合成することに成功した.各種構造解析を行い,データを文献値と比較したところ,その値はおおむね一致したが,旋光度においてこれまでに報告されている値と異なる値を示した.キラルHPLCによる解析の結果,今回合成した化合物は光学純度の非常に高いものであることを明らかにした.これは,これまでに報告されている天然品の純度が充分なものではなかったことを示唆している.
1: 当初の計画以上に進展している
当初の計画順序とは必ずしも一致しないが,1. 天然物scytoneminの炭素アナログの構造解析及び機能性の解明に至り,2. (±)-kopsihainanineAの不斉全合成に至ったため(全計画中75%程度完遂).
H25年度に達成した上記成果に基づく化合物データの収集,反応の精査を行い,論文の作成を行う.また,ケテイミンを用いたPauson-Khand反応の実現と天然物scytoneminの全合成を試みる.
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