研究実績の概要 |
1, 天然物scytoneminのC-アナログの合成 当該年度初期に計画したケテンイミンを用いたPauson-Khand型反応を検討したところ、目的の生成物を得るには至らなかった。そこで、アレン―アルキン体のDouble Pauson-Khand型反応(Double PKTR)によるscytoneminのC-アナログ合成に取り組んだ。その結果、目的のDouble PKTRが進行し、基本骨格となる六環性構造を得ることに成功した。また、その後の官能基変換により、scytoneminのC-アナログの合成を達成した。得られた研究成果をごく最近Chem.Pharm.Bull.誌(査読有)にて発表した。今後、生理活性等を調べることにより、置き換えた原子(窒素→炭素)部分の重要性(ファーマコフォア、コンホメーション等)が明らかになると考えている。 2, kopsihainanineAの不斉全合成 当該年度の前年までに不斉辻-アリル化反応を鍵反応とし、kopsihainanineAの光学活性体を合成することに成功していた。今年度は合成した中間体化合物のデータ収集並びに各反応の精査を行った。鍵反応である不斉辻-アリル化反応の条件精査を行ったところ、使用する溶媒及び不斉配位子を適宜選択することにより、最高82%の収率且つ98%eeと非常に高い不斉収率で目的のアリル化体が得られることを見出した。以上のようにして得られた研究成果をChem.Comm.誌(査読有)にて発表した。
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