研究課題/領域番号 |
24390005
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
赤井 周司 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (60192457)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 有機合成化学 / フッ素 / フェノール / ベンザイン / 芳香族化合物 / 創薬 |
研究実績の概要 |
医薬,農薬などの生物活性物質にフッ素を導入することで安定性,脂溶性,生体内利用率などが劇的に変化し,望ましい薬効が発現する例が多数見出されている。そのため、フッ素導入法は創薬研究に於いて極めて重要な反応であるが、電子豊富な芳香環へのフッ素化は未だ十分ではない。本課題の目標は、生物活性(天然)化合物として、また、合成中間体として入手容易なフェノール類を原料にして,その水酸基を位置選択的にフルオロ基へイプソ置換する方法論を開発することである。具体的には、フェノール類の酸化で生じるカルボニル中間体への求核的フルオロ化法(A法)と,フェノール誘導体から発生させたベンザインを経る求核的フルオロ化法 (B法)を開発する。 本年度は、以下の成果を得た。 1.一端の水酸基を保護したピロガロールを基質に用いてA法を行った。その結果、保護基の電子的な性質によって、求核的フルオロ化の反応位置が2通りに制御できることが分かった。現在、この方法を、種々の置換様式のピロガロールや、アミノ基が置換したカテコールに適用し、保護基による位置制御法の一般化を進めている。 2.B法において、ベンザインの隣接位の置換基によって求核的フルオロ化の反応位置が制御できることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度当初の課題の一つであるフッ素化の反応位置制御に関して、A法とB法の両方で目的に適う方法を見出し、大きな進展があった。一方で、今年度の研究遂行途中で見出したピロガロールの求核的フルオロ化に於いて、生成物の収率が低く、生成物の構造決定に時間がかかったため、B法による天然ポリケチドの求核的フルオロ化が検討不十分である。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を1年間延長することで、天然ポリケチドの求核的フルオロ化を達成したい。また、今年度見出した保護基による反応位置制御法の一般化を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の研究遂行途中で見出したピロガロールのデオキシフルオロ化等に於いて諸般の問題が生じ、年度当初の予定に遅れが生じた。しかし、最近になって、保護基や基質の工夫で収率改善の目処が立ったので、研究期間を1年延長し、目標を達成する。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の主な使途は、研究遂行に必要な薬品とガラス器具の購入、成果発表のための旅費である。
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