研究実績の概要 |
会合の検出・解析:コイルドコイルラベル法で標識した生細胞膜タンパク質の会合状態を、スペクトル検出器を備えた共焦点顕微鏡でFRET解析する手法で引き続き調査した。クラスA GPCRに関して、E3タグ付加したCXCR4, D2R,EP3beta各受容体の機能確認を行った。HEK293細胞に発現させた各受容体刺激によるカルシウム濃度上昇を、Oregon Green488 BAPTA1-AMで検出する事を試みたが、シグナル上昇が見られなかった。今後CHO細胞、SH-SY5Y細胞など異なる細胞、また蛍光プローブFluo-8-AMを用いて機能確認する。また、アミロイド前駆体タンパク質に関して、コイルドコイルラベル法で、細胞内への内在化速度が非常に速い事、細胞内では会合が促進している事が明らかになった。 共有結合化と超小型化:前年度までに確立したsulfosuccimidyl ester クロスリンカーによるクロスリンク標識条件を用いて、グリコフォリンAのCHO細胞膜上での会合状態を調べた。生細胞膜ではグリコフォリンAの会合は見られなかったが、SDS-PAGEでは部分的な2量体化を示す泳動パターンが得られた。また、生細胞膜のコレステロール除去によって、グリコフォリンAの2量体化が促進する事が明らかになった。今回開発した共有結合型コイルドコイルラベル法により、様々な条件下での膜タンパク質の会合状態比較が可能になった。このクロスリンク法はタンパク質間相互作用の検出やアフィニティー精製にも有用だと考えられる。
|