研究課題
平成24~25年度の検討課題に関して継続して検討を行いつつ、腫瘍内微小環境の変化がナノキャリアに対するEPR効果に与える影響について検討を行った。抗がん剤封入ナノキャリアを繰り返し投与した結果、腫瘍内血管周囲で顕著なアポトーシス細胞の増加が観察され、これはナノキャリアの漏出部位と一致した。このようなアポトーシス細胞の増加は遊離型抗がん剤の繰り返し投与時には観察されておらず、DDS化抗がん剤を繰り返し投与することで、次に投与するナノキャリアの腫瘍移行性が亢進され、結果として高い抗がん剤のデリバリー効率と抗腫瘍効果が得られることを明らかにした。また、このような正の効果を得るためには、抗がん剤封入ナノキャリアを3~5日の投与間隔で繰り返し投与すべきであることも明らかとなった。一般的なDDS化抗がん剤は、非選択的な分布による副作用の発現を避ける目的で少なくとも3週間以上の休薬期間をあけることが推奨されている。本検討で示した最適レジメでは、臨床用量よりもずっと少ない投与量であっても十分な効果が得られており、臨床でも十分に使用可能なレジメである可能性が高い。また、抗がん剤封入ナノキャリアと別のナノキャリアを併用することで相乗的な制がん効果が得られることもあわせて明らかにした。これは抗がん剤封入リポソームのEPR効果亢進効果によって別のナノキャリアが腫瘍組織内に移行しやすくなり、制がん効果をより発揮したためであると考えている。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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