研究課題/領域番号 |
24390012
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 同志社女子大学 |
研究代表者 |
杉浦 幸雄 同志社女子大学, 薬学部, 教授 (40025698)
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研究分担者 |
根木 滋 同志社女子大学, 薬学部, 助教 (50378866)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 分子認識 / 蛋白質 / 遺伝子 / バイオテクノロジー |
研究概要 |
転写因子亜鉛フィンガー蛋白質によるDNA塩基認識は、いわゆる"鍵と鍵穴"モデルのような一対一の絶対的なものではなく、周りの環境に応じて変化しやすい分子同士の柔軟な相互作用であるという仮説を証明すべく本研究を開始した。本年度は、従来、マルチ亜鉛フィンガードメインは、"3塩基認識/1フィンガー"のモジュール構造と考えられてきたが、各フィンガーは必ずしも等価ではないと推測し、天然亜鉛フィンガードメインおよび系統的にそのDNA結合を調節する改変型人工亜鉛フィンガー連結体を作製して、各亜鉛フィンガーの個性と複合体の揺らぎとの関係、特にSNA結合配列特異性を決定している要因、すなわち塩基配列選択的結合の駆動力、および亜鉛フィンガー蛋白質-DNA複合体もダイナミクスについて追及した。その結果、天然亜鉛フィンガーと変異導入亜鉛フィンガーとの比較検討から、DNA認識配列の寛容さや非最適配列への結合を指標にして、各亜鉛フィンガーの個性・位置とDNA複合体の揺らぎに関する有力な情報を得た。また、マルチ亜鉛フィンガードメインの各亜鉛フィンガーは、DNA塩基特異的認識において決して等価ではなく、それぞれ個性があることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マルチ亜鉛フィンガーにおいて、各亜鉛フィンガーがそのDNA結合過程で等価でないことを実験的に明らかにすることができ、亜鉛フィンガーの個性と複合体の揺らぎの重要性を示した。今後は、複合体の揺らぎのダイナミクスの追跡や計算科学的追究を行いたい。
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今後の研究の推進方策 |
特異的結合の細胞内での揺らぎを調べるため、蛍光標識人工マルチ亜鉛フィンガー蛋白質の細胞内での速度的パラメーターを算出したり、またFRAP法の適用も考えてみたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
年度末に残額が生じたので、無理に使用することよりも来年度予定の細胞内実験に対する新規な物品費に加えて使用することを選んだ。
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