亜鉛フィンガー蛋白質によるDNA結合・認識は、鍵と鍵穴のような絶対的な様式ではなく、周囲の環境に応じて変化しやすい分子同士の柔軟な相互作用に基づいていると考えられた。マルチ亜鉛フィンガードメインは3塩基認識/1フィンガーのモジュール構造ではなく、各亜鉛フィンガーは必ずしもDNA認識において等価ではなく個性があることが明らかになった。天然亜鉛フィンガーと変異導入亜鉛フィンガーとの比較から、DNA認識の寛容さや非最適配列への結合を指標にして、亜鉛フィンガーの個性・位置とDNA複合体の揺らぎに関する興味ある情報を得た。さらに、亜鉛イオン濃度に依存したスイッチ機能を持った人工転写因子などを創製した。
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