研究課題
本研究の目的は、プロスタグランジン(PG)E2による神経細胞の骨格ダイナミクス制御作用とその個体における役割を解明し、もって性分化や摂食を司る神経ネットワーク形成の分子機構とその意義を明らかにすることである。我々はこれまでに、PGE2はEP4受容体-cAMP-プロテインキナーゼA(PKA)経路を介して、グルタミン酸受容体非依存的に微小管束化タンパク質の先導端への局在化を促し、神経突起の伸長を促進することを明らかにした。我々はまた、性分化に関与する特定神経細胞の可視化マウスを用いて、野生型マウスで性特異的な神経投射を可視化した。一方、EP4受容体欠損マウスでは、こうした性特異的な神経投射が乱れていること、さらに本変異マウスでは、性行動に異常を認めることを見出した。これらの結果は、PGE2がEP4受容体を介して視床下部神経細胞の骨格ダイナミクスを直接制御し、性特異的な神経ネットワーク形成に寄与していること、またこうしたPGによる高次構造の形成が性特異的な行動の発現に関わることを示したものである。一方、EP4受容体やEP3受容体の欠損マウスでは、摂食行動に異常を認めず、摂食に関わる神経細胞ネットワークの形成にはこれらのPG系は関与しないものと考えられた。従って、PGE2は、脳内の特定の機能を担う神経細胞の骨格を特異的に制御して、神経ネットワークならびに高次構造の形成に寄与するものと考えられた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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