研究概要 |
近年の分子標的治療薬の台頭に伴い、腫瘍壊死因子(TNF-α)が種々自己免疫疾患における創薬ターゲットとして注目を集めている。しかしTNFが結合するレセプターにはTNFR1とTNFR2の二つのサブタイプが存在し、各レセプターが可溶型/膜結合型TNFと相互に作用しつつ、非常に複雑かつ巧妙にその生体内反応が正負に制御されており、それらの機能の違いは十分明らかにされていない。そこで本研究では、TNFシグナルの多様性に着目し、我々が独自に創製したTNFR1及びTNFR2指向性TNF変異体(アゴニスト・アンタゴニスト)を活用することで、これまで困難であった各レセプターと病態との連関解析を通じて、自己免疫疾患に対する画期的な分子標的治療薬の開発に資することを目的とする。 平成24年度は、in vivoでのTNFR2の機能解析を念頭に、マウスTNFR2(mTNFR2)指向性のTNF変異体(アゴニスト)の創出を試みた。マウスTNF-α(mTNF)中のレセプター結合領域に位置する6箇所のアミノ酸残基(Q31,R32,A33,A144,E145,S146)をランダムに置換した構造変異mTNFを網羅的に発現するファージライブラリを構築した。続いて作製したライブラリの中から結合力に基づくセレクションを行い、mTNFR1には結合せず、mTNFR2のみに親和性を有し、さらに、各レセプターを介した生物活性を指標にスクリーニングを行った。スクリーニングの結果、有望なmTNFR2指向性のmTNF変異体候補を得ることができた。
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