研究課題
基盤研究(B)
本課題では、シクロプロパンの立体的目由度がなく強固かつ多様に配座制御が可能であるという構造特性と三次元的多様性を鍵とする独自の分子設計を基盤として、標的分子に対して選択的かつ強力に作用する薬理活性化合物を論理的かつ効率的に創出する方法論の確立を目指す。さらに、先に確立したシクロプロパン化合物の立体選択的合成法と本分子設計方法論に基づき創薬リード(GABAトランスポーター阻害剤、TNFα阻害剤、オキシトシン受容体リガンド)を創出することを目的とする。本年度はGABAトランスポーター阻害剤の開発研究を重点的に実施した。中枢GABA神経系の制御に重要であり、抗痙攣薬等の新規創薬標的と想定されているGABAトランスポーター各サブタイプに対して高選択的阻害剤の創出を目指す。当年度は、GABAの配座をシクロプロパンによって三次元的に多様に制御した誘導体16化合物を、先に開発したキラルシクロプロパンユニットをシントンとして合成した。さらに、4種類のGABAトランスポーターサブタイプ(GAT1,GAT2,GAT3,BGT1)阻害活性を、各サブタイプ発現細胞系を用いて評価した。その結果、GAT3およびBGT1サブタイプに選択性を示す配座制限誘導体を見出した。本化合物は、低分子量かつ高極性あり、さらに、リガンド効率値(LE)に優れることから、極めて医薬開発リード化合物として好適な性質を有する。今後、構造活性相関研究を展開する予定である。
2: おおむね順調に進展している
GABAトランスポーター阻害剤に関して、当初目論んだ通りの好適なリード化合物が得られた。
当初の予定通り、三次元的多様な配座制御に基づく分子設計を鍵として、GABAトランスポーター阻害剤、TNFα阻害剤、オキシトシン受容体リガンドの創出を目的に研究を進める。
研究は比較的順調に進行したが、消耗品の消費量が予定より少なく直接経費に残額が生じた。直接経費次年度使用分については、今年度の経費と合わせ、上記研究を円滑に実施するための消耗品購入にあてる。
すべて 2012
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件)
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