研究課題/領域番号 |
24390023
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
周東 智 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (70241346)
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研究分担者 |
福田 隼 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (30434450)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | シクロプロパン / 配座制御 / 三次元的多様性 / 分子設計 |
研究概要 |
本課題では、シクロプロパンの立体的自由度がなく強固かつ多様に配座制御が可能であるという構造特性と三次元的多様性を鍵とする独自の分子設計を基盤として、標的分子に対して選択的かつ強力に作用する薬理活性化合物を論理的かつ効率的に創出する方法論の確立を目指す。さらに、先に確立したシクロプロパン化合物の立体選択的合成法と本分子設計方法論に基づき創薬リード(GABAトランスポーター阻害剤、 TNFα阻害剤、オキシトシン受容体リガンド)を創出することを目的とする。 本年度はGABAトランスポーター阻害剤の開発研究においては、先のシクロプロパンによる配座制御をさらに強固にすべくビシクロ[3.1.0]ヘキサン骨格に基づく配座制限誘導体を設計・合成した。4種類のGABAトランスポーターサブタイプ(GAT1, GAT2, GAT3, BGT1)阻害活性を、各サブタイプ発現細胞系を用いて評価した結果、従来にない高い選択性と親和性を有するGAT1サブタイプ阻害剤を見出し、既に論文投稿した。 TNFα阻害剤に関しては、当初設計した4種の配座制限誘導体の合成を完了した。現在、薬理活性評価に向けて準備を進めている段階である。 オキシトシン受容体リガンドは昨年度に続き、鋭意合成法の開発を進めている。基本骨格の合成の確立が可能になりつつある段階にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GABAトランスポーター阻害剤に関して、当初目論んだ通りの好適なリード化合物が得られた。本化合物は従来にまったくない高いBGT1選択性と阻害活性を有する。現在、マウス脳内投与でのin vivo評価を進めている。また、TNFα阻害剤に関しては目的化合物の合成が完了しており、薬理評価実施が可能である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はGABAトランスポーター阻害剤の開発研究においては、上述のように、従来にない高い選択性と親和性を有するGAT1サブタイプ阻害剤を見出した。本化合物のin vivo評価を進める。さらに、GABAAおよびGABAB 受容体評価系を構築し、両受容体に対する効果を吟味する。一方、GAT1以外、特にGAT3サブタイプに対する選択的阻害剤の創出を目指して構造―活性相関研究を展開する。 TNFα阻害剤に関しては、当初設計した4種の配座制限誘導体の合成を完了したので、薬理活性評価の結果を待って、今後の研究方向を決定する予定である。 オキシトシン受容体リガンドは鋭意合成法の開発を進める。一方、共同研究として実施している分子動力学による好適骨格の選択を本年度は精力的に実施し、ファーマコフォアモデルを構築する。合成法を確立した上で、分子動力学から求めたファーマコフォアに基づき、合成標的化合物を設定し、合成を進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度の研究遂行の過程で、次年度に比較的多くの化合物を合成し、活性を評価することが研究の進展に有効と判断した。そのための消耗品費として繰り越した。 上述のように、化合物合成のための消耗品、主に、合成試薬と溶媒の購入に使用する。
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