研究課題/領域番号 |
24390025
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
北出 幸夫 岐阜大学, 工学部, 教授 (20137061)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | RNA創薬 / オリゴヌクレオチド / クリック反応 / ラベル標識 / 薬物動態 / PETプローブ / バイオイメージング / ドラッグデリバリー |
研究概要 |
本年度は、①塩基部欠損型リボース (RH) を導入した種々のRH修飾siRNA, miRNAの性質評価と②当研究室で開発されたウレア連結型ダングリングエンドとPAZとの結合親和性の評価、の2点で良好な結果が得られたため、以下詳細を記載する。 ①siRNAにおいて塩基部の必要性の有無を検証するために、塩基部欠損型リボース (RH) の簡便合成法の開発に成功した。RHをsiRNA末端や内部に置換した場合、末端置換では天然型dTdT (Thymidine dimer)よりも優れたヌクレアーゼ耐性、若干ではあるが強い遺伝子抑制能を有していることを明らかとした。内部置換では、末端ダングリングエンドに続いた位置に1つRH修飾を施したsiRNA が最も優れたRNAi活性を示すことが確認できた。 ②当研究室で開発された、芳香族化合物をureaあるいはthiourea結合で連結したダングリングエンドを有する各種ダイマー体を合成し、それらと単離精製したヒトAgo2のPAZ domainとの結合親和性を評価した。蛍光クエンチング法ならびにITCによる結果から、ピリジン-ピリジンタイプよりもベンゼン-ピリジンタイプが、PAZ domainとの結合に有利である傾向が確認された。 また、これら以外にもメラノーマ細胞において特異的発現低下が観察されるmiR-205において岐阜大学動物病院と共同でイヌを用いた臨床試験(ヒトに対しては前臨床試験に相当)を実施中である。さらにオフターゲット効果の回避を目的とした新規オリゴマー末端修飾法の開発なども現在検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プロトタイプRNA分子の改良や新規RNA合成用樹脂の開発や、PETプローブ合成用のアセチレン誘導体の開発は当初の計画以上に進展している。核酸オリゴマーのPET(ポジトロン断層法)ラベル化のコールド実験についてはデータの蓄積が進んでいる。また実用的RNA分子の開発については、動物病院と連携したイヌでの臨床試験(ヒトに対しては前臨床試験に相当)が順調に進んでいる。全体としてはおおむね順調に進展していると自己評価する。
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今後の研究の推進方策 |
H25年度はオリゴマーのPETラベル化用のアセチレン誘導体の開発は順調に進んだことから、PETラベル化法の開発など標識化について、本年度は重点的に行いたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は昨年度同様に核酸オリゴマーのラベル化への展開が予備的検討に止まったため。 次年度は高価なRNAアミダイト(RNAオリゴマー合成試薬)を多数購入し、PETラベル化への検討を重点的に行いたい。
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