研究課題
本研究課題では、short-hairpin RNA(shRNA)を持続的に発現可能な人工ミニプラスミドを創製し、これを利用したRNA干渉(RNAi)機構による遺伝子発現抑制の新しい方法論を確立する。人工ミニプラスミド創製を実現するために、1)配列の最小化のためのdSNTPを用いたPCR条件の最適化、2)人工塩基対を利用した二本鎖4’-チオDNA末端部選択的な官能基化、さらに3)導入した反応性官能基間でのクリックケミストリーを用いた環状化を検討し、これを利用したがん治療薬創製の基盤技術を確立する。平成25年度は、項目2)および3)を中心に検討を行った。その結果、研究代表者が開発したImNN:NaOO塩基対は、DNAポリメラーゼにより相補的な塩基として認識され、かつA:TならびにG:Gと干渉しないことが明らかとなった。この成功をうけ、PCRにおいてもこの選択性が維持されるかを検討したところ、pfx50 DNAポリメラーゼを用いた場合、最も良好な結果が得られ、そのフィデリティーは約99.5%となり第3番目の塩基対として機能することを明らかにできた。また項目3)については、化学合成した短鎖2本鎖DNAに対し、アジド化スチルベン型リンカーを介した両末端部での結合形成反応を検討した。その結果、フレキシブルなアルキルリンカーを介した場合に、両末端部での結合形成が起こるを明らかに出来た。現在、この二つの研究成果を融合させることで、PCRで増幅させた2本鎖DNAの両末端の結合形成を検討中である。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り、PCRに適応可能な人工塩基対の開発と、さらに二本鎖DNA両末端の反応性官能基間でのクリックケミストリーを用いた環状化達成ができたため。
初年度、次年度に研究目標はほぼ達成できた。そこで最終年度は、その成果を融合させ、人工ミニプラスミドの両末端を結合させ、環状化させる手法を確立させるとともに、それを用いた遺伝子発現抑制についてのin vitroならびにin vivo評価を行い、目的とするRNAi創薬の新手法の基盤を確立する。
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